6月は土砂災害防止月間。国土交通省と都道府県は、防災・減災の取り組みの一環として、梅雨や台風の時期を迎える6月に、国民一人一人が土砂災害の防止および軽減の重要性について認識してもらう目的で、さまざまな行事を行っている。都道府県、市町村と連携して住民参加を中心とした避難訓練や、土砂災害防止意識の普及活動、警戒避難・情報伝達体制の整備などを推進する。
わが国は、地形や気象などの自然条件によって災害にぜい弱な国土であり、自然災害がたびたび発生している。このうち土砂災害だけでも毎年1000件以上が発生している。17年は直近10年で最も多い1514件の土砂災害が発生し、死者・行方不明者24人、負傷者8人、人家被害701戸という甚大な被害を記録した。
九州北部豪雨はじめ全国各地で土砂災害が発生したが、砂防えん堤による土砂・流木の捕捉が、被害を軽減させた事例や、日ごろの避難訓練によって難を逃れた事例があるなど、行政や自治体、住民、関係機関が連携して地域防災力の向上や未然防止に取り組むことの重要性が再認識された。土砂災害防止月間をはじめとする日ごろの避難訓練、防災意識の向上といった諸活動の成果が着実に高まっているといえよう。
国交省は過去の災害を教訓に、土砂災害防止法の改正をはじめとしてさまざまな防災施策を展開してきた。都道府県に基礎調査の結果公表の義務付け、都道府県知事に対する土砂災害警戒情報の市町村長への通知および一般への周知の義務付け、土砂災害警戒区域内にある立地する要配慮者利用施設管理者に対して避難確保計画の作成と避難訓練の実施義務付けなど、被害の軽減措置を打ち出している。
ただ、こうした施策は比較的最近のものであり、住民や関係機関への周知徹底が喫緊の課題だ。住民自身がとるべき避難行動や避難経路の浸透、情報伝達方法体制の整備や確認など、土砂災害防止月間を機に見つめなおしてみるのも良いだろう。