公共建築物等木材利用促進法の施行(2010年)、建築基準法の改正(2015年)を受け、非住宅建築の木質化が進んでいる。耐火木質部材の開発により、中大規模の木造建築も増えつつある。来年には木造建築の防火規制対象が緩和され、中層建物でも構造体の木材をそのまま見せる「あらわし」が可能になるとデザイン的な広がりが期待されている。一方で、木質構造は設計が標準化されていないために手間を要し、耐火性能を確保する上で鉄骨(S)造や鉄筋コンクリート(RC)造と比べると割高になるなど、敬遠されやすいのも事実。木質構造設計の第一人者で東京大学大学院農学生命科学研究科木質材料学研究室教授の稲山正弘氏に、木造建築の動向、大規模化実現に向けた課題などについて聞いた。