佐藤総合計画 東北オフィス開設45周年

2019年12月20日 特集

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 世界の事柄がグローバル化と情報伝達処理の加速を続けるいま、私たちはその潮流にどう向き合うべきかを思案しています。既に目の前の事象に対して「問題解決」を為すだけでは、目まぐるしく変化する時代にも社会にも適応できないのではないか。解決された問題の更に先に潜む「課題の発掘」こそが、私たちに必要な行動であろうと実感します。
 建築においてはどうなのか。ものづくりの構造として最も重要であるはずの基本構想や基本計画の主旨が薄れ、建築をどのようなコンセプトで造るのかという、本質についての議論をせず、「器」を作る手腕と技術だけがBIMやAIといった形に姿を変えて翻弄を続けています。建築家であり設計者は、そのようなテクノロジーを使いこなしつつも、分断化された建築生産システムの全体像を見通し共有化できる「職人の目と感性」を養わねばならない。まさに建築家の資質が問われる時代と言えるでしょう。
 このことは、地方都市と首都圏との間柄にも問いかけたい問題であり、人口減少と少子高齢化によって、地方都市が大都市を支えてきたこれまでの仕組みはもはや成立困難な世の中です。弊社は長きにわたり、地方都市と大都市、首都圏の持つ役割を合流させるべく、互いの交流を推し進めて参りました。東北オフィスは、地域としての役割を持ちながら、ものづくりの立ち位置から各地のまちづくりと対話を続け、これからの地方都市と大都市のあり方を提案させていただいております。
 東北に息づく新たな価値を創造に結び付け、経済至上主義の渦に巻き込まれることなく大局から独自のブランドを確立する。その活力に求められる構想力をもって、大都市、世界と対話できる地方都市のものづくりのお手伝いを続けてゆきます。