モバイルスキャン協会は、iPhoneの最新機種に搭載されたLiDAR(※)機能を活用するための「モバイル端末スキャンマニュアル」を編集し、公式サイトからのダウンロード提供を開始した。同協会は桑山優樹氏(ワイクウーデザイン)と松尾泰晴氏(yasstyle)が共同代表理事を務める任意団体(公式サイト https://mobilescan.jp/)。 (※)LiDAR=ライダー(light detection and ranging)。光による検知と測距の意味。 □8ページからなるマニュアルには事前準備からスキャン時の留意点・ノウハウまでが満載□ モバイル端末スキャンマニュアルは、▽作業フロー▽スキャン時の安全確認▽スキャン範囲▽標定点の配置▽スキャン方法▽スキャン時の注意点▽座標合わせ▽参考動画-の全8章から構成されている。 【作業フロー】に即して進むと最初に【スキャン時の安全確認】があり、事前準備完了後に【スキャン範囲】が明示される。そこでは「スキャン範囲は1区画を延長10m×幅5m×高低差3m以内」「1区画範囲を超えてスキャンをする場合は、区画及びスキャンを別けて行い、点群編集ソフト上で合成」と実践的な記述が続く。 【標定点の配置】では、「標定点の配置は対象物の外周を囲むように設置を行い、外側標定点の距離は10m×5m以内の4隅に設置を行い、内部標定点は中心部に1点設置を行う」「検証点はスキャン範囲内部に2点設置を行う」とある。 次いで【スキャン方法】では、図のように「対象物に対して正対して行う」「正対できない場合であっても、内角が30度を超えないように注意」「対象物からの距離は1・5m~2・0mを推奨」と要諦が述べられている。 □LiDAR機能を利活用する9種類のアプリを紹介、サイトでバージョンアップ情報も提供予定□ 参考資料の「iPhone3Dスキャンアプリまとめ」では、9種類のアプリの機能詳細などが一覧表記されている。(◇無料、◆有料) ◇Scaniverse=フォトグラメトリを唯一ローカル処理できるので電波が悪い所でも利用可。初めてLiDARを試用する人向き。無料アプリの中では性能が高い。クラウド共有ができるのも良い。 ◆Metascan=スキャン中の視点切り替え機能があり、上空ビューモードでは広域スキャンやスキャンし忘れを気付きやすい。フォトグラメトリで撮影できる枚数が300枚とアプリ中でも最高峰。 ◆Polycam=最も多彩な機能を持ち、小物がスキャンできる処理モードを搭載。スキャンしたモデルを世界地図上に配置でき、フォトグラメトリ機能のみだがAndroid版がある。 ◇3d Scanner App=スキャン時の設定項目が豊富でカスタマイズ可。メッシュ、点群、TrueDepthスキャンが一つのアプリででき、体積(ボリューム)の算出も可能。 ◇WIDAR=Photoモードを含む全機能が無料の日本製アプリでAndroid版も実装。テクスチャーやモデルのスケール、回転を変更できるなど編集機能も豊富。 ◇EveryPoint=β版をテスト中。撮影範囲は無制限でリアルタイムで処理が完了する。EveryPoint LiDARモードを強化して15m以上離れた物体のスキャンが可能となっている。 ◆SiteScape=マルチスキャン&クラウド合成機能搭載で最大500m2もの範囲をLiDARスキャン可。CloudComapreなどで手動合成を行うと広域スキャンができる。 ◆Trnio=ARkitモードが使いやすく初心者でも簡単にフォトグラメトリができる。一度に撮影できる枚数が80枚から100枚に増強。 ◆TrnioPlus=空間や大型の物体のスキャン向きのLiDARcaptureモード、中~小型の物体向きのARCaptureモード、カメラアプリや外部のカメラ(ドローンや一眼レフ)で撮影した写真をフォトグラメトリ処理するimportPhotosモードと状況に応じた多様なスキャン方法を搭載。 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)