鉄道各社の展望-開業150年-/京浜急行電鉄/三浦半島で都市近郊リゾート創生

2023年2月16日 ニュース

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京浜急行電鉄は2019年9月に泉岳寺(東京都港区)から横浜市西区のみなとみらい(MM)21中央地区に本社を移転した。同社の創立120周年記念事業と位置付け、沿線のほぼ中間地点にグループ企業約12社を集約することで、業務の効率化とグループ内の連携強化を図った。新たな拠点は沿線活性化を実現する「エリア戦略」の司令塔の役割を担っている。
MM21地区は日産自動車や日揮ホールディングス(HD)の本社をはじめ、大手企業の研究開発機能などが数多く集積。周辺には企業ミュージアムや音楽・イベントホールなど集客施設も充実している。京急電鉄も本社に「京急ミュージアム」を併設し、エリアの魅力向上とにぎわい創出に一役買っている。
京急グループは第19次総合経営計画に沿って神奈川県の三浦半島エリアを舞台に「都市近郊リゾートみうらの創生」に取り組んでいる。20年5月に営業終了した城ケ島京急ホテル跡地では、ヒューリックが展開する高級温泉旅館「ふふ城ケ島」(仮称)の開業に向け三浦市、地元関係者らと協議を進めている。21年9月末に営業を終了した京急油壺マリンパーク跡地では、大手デベロッパーと共同で滞在拠点の一体的開発を検討中だ。
首都圏の玄関である羽田空港との直通線を持つ強みを最大限生かすため、京急空港線羽田空港第1・第2ターミナル駅引上線新設工事に着手した。このプロジェクトは国土交通省の拠点空港機能拡充を目的とした基盤施設整備事業。トンネル躯体と付帯する通路、階段などの鉄道基盤施設は関東地方整備局が担当し、軌道やホームなどの鉄道施設は同社が整備する。
引上線の新設と品川駅の2面4線化で、1時間当たり片道3本の増発が見込めるという。投資額や工期などは未定だが、引き続き国交省と協力しながら早期の供用開始を目指す考えだ。
川崎市の都市計画事業である京急大師線連立事業のうち、段階的整備区間の東門前駅付近から小島新田駅付近までの区間(約980メートル)は、19年3月に地下への切り替えが完了。これにより産業道路第1踏切(東京大師横浜線)を含む3カ所の踏切を除却、踏切事故や渋滞の解消が図られた。引き続き地上部整備工事や大師橋駅、小島新田駅の駅舎工事などを進める。
拠点駅周辺の大規模再開発にも力を入れる。品川駅は京急、JR各線、新幹線が乗り入れるほか、リニア中央新幹線の開業や品川地下鉄構想、次世代型交通ターミナル計画なども控える。新たな交通モードが加わることで、国内有数の交通結節点となる将来像が描かれている。
京急グループは品川駅周辺に約6万平方メートルの土地を保有しホテル、オフィス、商業施設などの事業を展開している。「これからの日本の成長をけん引する国際交流拠点・品川」の実現に向け、国内外から人・企業・技術が集まる持続可能なまちづくりを目指す。
品川駅西口地区(高輪3、旧SHINAGAWA GOOS敷地)ではトヨタ自動車を共同事業者に迎え、持続可能なまちづくりを推進する。地上29階建て延べ約3・1万平方メートルの複合施設は26年度の竣工を予定している。横浜市域ではMM21中央地区53街区の複合施設建設や旧横浜市庁舎街区活用事業などに事業者として参画している。