政府は2024年度予算案で公共事業関係費に6兆0828億円を計上した。前年度を26億円上回る規模で、安定的に確保した。国土強靱化に重点を置き、約4兆円を配分。23年度補正予算で「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の4年目(24年度)分として確保した公共事業関係費約1・3兆円と一体で、強靱な国土づくりを一段と前進させる構えだ。
23年度補正予算では、5か年加速化対策を含め公共事業関係費に2兆2009億円を計上した。24年度予算案計上分を合わせた総額は8兆2837億円。補正と当初予算を切れ目なく、着実に事業執行していく。
国土交通省は24年度予算案に一般会計総額5兆9537億円(前年度比0・8%増)を計上した。うち公共事業関係費として5兆2901億円(0・0%増)を確保。予算額は、同年度に厚生労働省から国交省に移管される水道整備・管理行政の経費も加味されている。
各省の24年度予算案の公共事業関係費は▽国交省=5兆2900億94百万円▽農林水産省=6985億85百万円▽経済産業省=21億63百万円▽環境省=495億12百万円▽内閣府=423億96百万円。
24年度予算案では各府省庁が国土強靱化関係予算として前年度比10・0%増の総額5兆2201億円を計上した。同年度予算と一体で執行する23年度補正予算では、5か年加速化対策の4年目となる24年度分の予算を国費ベースで1兆5188億円を計上した。財政投融資などを加えた事業費ベースでは2兆3560億円となる。うち、公共事業関係費は国費1兆3022億円(事業費2兆0035億円)を占める。現下の資材価格や物価高騰などを踏まえ、5か年加速化対策に別枠として創設した「国土強靱化緊急対応枠」(3000億円)も含まれている。
政府は予算執行に当たり、適正な積算実施や工期設定、施工時期の平準化などに取り組む。国庫債務負担行為も柔軟に活用する方針だ。
建設経済研究所と経済調査会は昨年10月、24年度の建設投資予測を公表した。投資総額の名目値は前年度比1・1%増の72兆2400億円で、回復基調になると見ている。政府の建築補修を除く建設投資(名目値)はほぼ横ばい(前年度比0・2%増)の23兆4700億円を見込む。
民間に目を向けると、住宅は23年度に建設コストの高止まりや住宅ローン金利上昇への懸念などが影響し、着工件数が減少する見込み。その反動で24年度の着工件数が微増するとみて、同年度の住宅建設投資額も微増(1・4%増)の17兆5200億円と予測した。24年度の非住宅建設投資は着工面積が前年度比で増加するのに伴い、投資額を前年度と同水準(0・4%増)の19兆2300億円と見通した。
24年度は総額、分野別ともに前年度よりも伸び率が縮小するものの、全体で見れば引き続き堅調な投資が続くと予測。民間企業の積極的な設備投資や賃上げにも期待されるという。