国交省/総合評価方式でVFM基づく技術提案促進、直轄工事で2方策試行へ

2024年6月26日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省は直轄工事で運用する総合評価方式のうち、技術提案評価型の制度改善に乗り出す。技術提案評価S型を念頭に高い技術力を持つ企業の提案を適切に評価する方策を講じる。VFM(バリュー・フォー・マネー)の考え方に基づき、仕様や工法の変更で品質向上が期待できる事項について「技術向上提案」を求める方法を「S-1型」として試行。技術提案による点差がつきやすくなるよう加算点の枠を拡大する試行も実施し、受注者の応札行動にどう影響するかも検証する。
 有識者会議「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」の「建設生産・管理システム部会」が25日開いた会合で説明した。2025年度に発注する工事で二つの試行を実施し効果や課題を把握する。
 S型の運用実態を見ると技術点差がつかない傾向があり入札価格が調査基準価格付近に集中している。そこで一般化した提案は仕様として標準化を志向し、より高度な部分を技術提案テーマとして設定する方向で制度改善を目指す。改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)に基づき「総合的に価値の最も高い資材・機材・工法など」の採用に努めるよう求められていることも考慮する。
 まずは受注者がより高度な提案を検討可能となるよう、技術点差がつく運用を試行。技術評価点のうち「標準点」と「施工体制評価点」の配点は変えず「加算点」を現行以上に拡大する。これにより調査基準価格に対し余裕を持った入札が行われるかどうか検証する。
 S-1型は、S型で発注していた工事のうち難易度や不確実性が高い工事への適用を想定。S型で認められていない仕様変更などの提案を求める。提案内容は当初契約で反映せず、発注者の指示による変更契約で一定の範囲内で費用を計上する。コスト面で分が悪い省人化や脱炭素化につながる工法や資材を技術提案テーマに設定し誘導するケースも想定する。