新社長/大成ロテック・加賀田健司氏、グループのシナジー生かす

2024年6月28日 論説・コラム [1面]

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 大成建設グループで大手道路舗装会社の大成ロテックを率いる。事業の根幹を占める道路建設業を筋肉質にするため、積極的なDX導入や柔軟な人材採用に取り組み、喫緊の課題である働き方改革や担い手確保に対応。グループ間のシナジー(相乗効果)を生かし、新たな次世代研究所などで技術開発を進める。中小水力発電事業を展開するなど、事業領域の拡大にも挑む。
 --就任の抱負を。
 「2021年に大成建設グループ全体の中長期経営計画が発表され、本年度から第2フェーズに入った。グループの中核企業として業績への期待は大きい。大成建設とのシナジーが生かせる事業展開を図る。確実に利益を向上させ、社員をはじめとするステークホルダーに還元していきたい。業界のリーディングカンパニーを目指し、ブランド力や経営基盤を強化する」
 --事業環境はどうか。
 「原材料価格や運搬費用が高止まりする一方、アスファルト合材の販売価格に転嫁できず厳しい状況にある。官庁舗装工事の発注量も減っている。基幹の道路建設工事を磨き上げ、持続的成長のために新たな事業領域にも挑戦する。カーボンニュートラル(CN)や生産性向上のためのDXを推進し、維持・補修・更新に適した製品や工法の開発にも注力する。道路舗装を通じて国土強靱化や災害復旧にも尽力し社会に貢献していく」
 「再生可能エネルギー分野では、大成建設グループの創業者・大倉喜八郎の生誕地である新潟県新発田市で中小水力発電事業が進行中だ。早期の事業化、収益化を図りたい」
 --技術開発拠点の整備を進めている。
 「埼玉県幸手市に建設中のグループ次世代技術研究所では、二酸化炭素(CO2)を吸収するコンクリートや高耐久アスファルト合材の開発などを行う。大成建設が敷地内でCNやZEB化の研究を行う計画で、ここでもグループシナジーを発揮していきたい。福島県田村市でグループ次世代舗装試験所の建設も進み、完成後は敷地内のテストコースでさまざまな試験を行う」
 --働き方改革への取り組みは。
 「社内では業務のDX化を進める。会議の議事録作成や仕様書の内容確認などにAIツールの活用も試行している。仕事のやり方や発想を抜本的に変えていく」
 「担い手確保では技術の職種が多様化しているため、文系学生や外国人の技術職採用も積極的に進めたい。入社後のキャリアパスを示し、若手社員が将来の姿をイメージできる人事制度も整えていきたい。会社にとって最大の財産である社員のエンゲージメント向上に努める」。
 (4月1日就任)
 (かがた・たけし)1982年京都大学大学院交通土木工学専攻修了、大成建設入社。91年米国コーネル大学大学院修了。2013年執行役員関西支店副支店長、16年常務執行役員、18年同関西支店長、22年専務執行役員。座右の銘は「心ここに在らざれば、視れども見えず、聴けども聞こえず、食らえどもその味を知らず」。京都府出身、66歳。

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