大阪・関西万博/8月下旬に大屋根リングつながる見通し、工事円滑化へゲート増設

2024年7月1日 行政・団体 [12面]

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 2025年日本国際博覧会協会は6月27日、会場内(大阪市此花区)で建設しているシンボル施設「大屋根リング」について、8月下旬につながる見通しを明らかにした。当初想定から1カ月前倒しとなる。本格化する建設工事に備え、工事用ゲートの増設やバックヤードの整備も進める。閉幕後の大屋根リングの再活用は、全体の2割程度の需要が見込まれるとしている。25年4月の開幕に向け、急ピッチで工事が進められる。
 大屋根リングは109個の木架構ユニットを円形につないだ幅約30メートル、高さ約20メートル、内径約615メートル、周長約2キロの世界最大級の木造建築となる。
 大屋根リングを含むパビリオンワールド(PW)施設の整備は、PW北東工区を大林組・大鉄工業・TSUCHIYAJVと安井建築設計事務所のグループ、PW西工区を竹中工務店・南海辰村建設・竹中土木JVと昭和設計のグループ、PW南東工区は清水建設・東急建設・村本建設・青木あすなろ建設JVがそれぞれ担当している。
 このうち、西工区が2カ月前倒しして6月7日に上棟したのに続き、同26日には北東工区の基本構造体が当初計画より1・5カ月早く完成した。残すは南東工区となり、8月下旬につながる見通しという。
 木構造が組み上がった工区ではエレベーターやエスカレーター、照明設備、トイレなどの仕上げ工事を本格化させる。
 施工環境を改善するため、工事車両などの出入り口を増設する。既存の1カ所は撤去するが、11月までに既存の出入り口を含めてゲートを8カ所に増やし、現場内に円滑にアクセスできるようにする。北東工区には3カ所を開設する計画だ。
 工事事務所の建設用地や資材置き場などのバックヤードは、会場外南東側の大阪港湾局が保有する用地(約6ヘクタール)に整備する。事務所用地は約1万2000平方メートル、資材置き場は約5000平方メートルを確保し、工事関係者車両を1000台近く収容できる駐車場(敷地約3万平方メートル)も設置する。
 北東工区JVが敷地測量や電気・給排水設備、仮設トイレなどを整備し、南東工区JVが舗装工事、西工区JVが車両搬出入の動線整備を行う。
 大屋根リングには約2万7000立方メートルの木材が使われているが、自治体や民間事業者など幅広く活用方法を公募。その結果、自治体や建設会社、家具・木材加工メーカーなどから提案があり、約2割の6000平方メートル程度は需要が見込めるとした。万博協会では6000平方メートルの再活用を前提に解体工事の設計を進める予定だ。