能登半島地震から半年/石川県が公費解体円滑化へ取り組み共有、職員増強で対応進む

2024年7月1日 行政・団体 [11面]

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 石川県は、能登半島地震から半年を迎え復旧・復興状況をまとめた。水道は発災直後、16市町で約11万戸が断水していたが一部地域を除き5月末で解消。応急仮設住宅は現時点で必要とされる6810戸のうち6月末までに目標の5000戸を完成、残りも8月中に完成させる。=1面参照
 復興に向けた一つのハードルである公費解体は想定解体棟数約2万2000戸のうち9割の申請を受け付けた。県は解体を急ぐため書類審査や費用算定を行う専門コンサルタント職員を5月以降、約200人増員し対応に当たっている。
 水道の復旧状況は、土砂崩れや建物倒壊などによる早期復旧困難地区(輪島市501戸、珠洲市970戸。6月24日時点)以外は断水が解消した。しかし、宅内配管の修繕が必要な場合も多く、県は6市町を対象に地元以外の工事業者を手配する受付窓口を設置。その際の「かかり増し経費」も補助している。下水道は断水解消エリアに合わせて流下機能を確保し、上下水道一体で復旧を進めている。
 応急仮設住宅はプレハブ造のほか、従前の住まいの近くに建設し2年後は市町営住宅に転用することで住み続けることができる木造住宅の建設も進めている。8月までに必要分を完成させるが、市町から要請があれば対応する。
 公費解体の申請棟数は輪島市6191棟、珠洲市455棟、志賀町2589棟など計2万0865棟(6月24日時点)。このうち解体着手棟数は2601棟。5月26日時点の申請は831棟だった。人員を増強したことで直近1カ月で約1800棟増加したことになる。
 公費解体を円滑に進めるため、6月から県の工程管理会議に6市町も参加し、有効な取り組みを共有し横展開している。電力や電話の引き込み線や接続設備が残っているため解体作業の支障になっているケースでは、環境省と電力会社、電話会社の協力を得て設備撤去の対応窓口を整理し、撤去工事体制の速やかな整備を依頼。各市町や県構造物解体協会にチラシを配布し周知した。県は2025年10月までに撤去を完了し、26年3月3月までに廃棄物処理を完了する予定だ。
 復興実現の羅針盤として策定した「石川県創造的復興プラン」では、のと里山空港の拠点機能強化や新たな視点に立ったインフラの強靱化などをリーディングプロジェクトに位置付けた。32年度末を計画期間とし、全庁一丸でプラン実現に取り組む。
 馳浩知事は「元日という特別な日、半島部、広域避難、液状化、海底隆起などさまざまなことが輻輳(ふくそう)した災害だったが、みんなで協力し復旧・復興を成し遂げていく姿勢を県民と共有し、復興のプロセスを石川モデルとして発信したい」と述べた。