全国建産連・石津健光会長が会見/改正3法に元下協調で対応、コスト増加味し予算増を

2024年7月1日 行政・団体 [1面]

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 全国建設産業団体連合会(全国建産連)の石津健光新会長が6月27日の通常総会後に記者会見し、物価高騰や時間外労働の上限規制などの逆風にさらされる中で、地域の建設産業が一体となった担い手の確保・育成に一段と注力する考えを示した。「建産連はすべての建設産業の関係者が横一線で意見交換でき、地方の声を集約できる場だ。行政機関や立法府、関係団体との橋渡し役を果たしたい」と抱負を述べた=写真。
 従来方針を踏襲し、公共事業予算の確保と国土強靱化実施中期計画の早期作成を関係機関に求める。石津会長は政府の当初予算で直近の公共事業規模がほぼ変わらないことを問題視。労務費や資機材費の動向、働き方改革などの「現場の実態を踏まえた歩掛かりや諸経費の改定などコスト増を加味した大幅な引き上げが必要」と強調。続けて「地方への思い切った予算配分で中小企業の経営力の改善と地域経済の活性化が急務だ」とも訴えた。
 第3次担い手3法への対応に当たって建設産業全体で連携、協調する建産連組織の特徴に言及し「専門工事業などの実情を元請がすべて理解できてはいないが、地方の会社は比較的理解度が高いのではないか。一緒になって対応できる体制をつくりたい」と話した。
 地域ブロックごとに選出された副会長らも会見に同席。改正建設業法で規定する「標準労務費」に触れた長崎県建産連の根〆眞悟会長は「必要な労務費や経費は発注者に求めていく必要がある」と指摘した。京都府建産連の小崎学会長は上限規制を契機に団体内で数年前から「民間建築工事を本気で考えるようになった」とし、工期の適正化などを引き続き訴える考え。三重県建産連の竹上亀代司会長も「民民間にメスを入れることになる。民間発注者の理解が必要」と話した。
 宮城県建産連の千葉嘉春会長は上限規制が現場稼働に加え資機材搬入などにも影響するとし「歩掛かりを直さないとますます魅力がなくなり、担い手育成が遠のく」と危機感を表明。福井県建産連の山本厚会長も「現状を変えるには歩掛かりを変えない限り難しい」と同調し、愛媛県建産連の西岡義則会長も「都会と田舎の格差が大きい」ことからより優先した歩掛かり改善などの対応を求めた。
 島根県建産連の中筋豊通会長は、若者の就労先としての魅力低下が地方で顕著と指摘。第3次担い手3法を踏まえた活動を「各地域のリーダーカンパニーになる気構えでやらないといけない」と訴えた。