大阪府/土石流対策を強化へ優先度評価の指標見直し、重要交通インフラを加味

2024年7月4日 行政・団体 [12面]

文字サイズ

 大阪府は、大雨で土砂が流出し孤立集落が発生するといった近年の災害特性を踏まえ、土石流対策を強化する。対策の優先度をA~Eランクの5段階で判定している「重点化評価指標」について、発災時の復旧・救助活動を支える緊急輸送道路などの重要交通インフラが含まれる地域の優先度をより高めるよう見直す。最優先で行うAランク渓流の対策に一定のめどが付き、2025年以降、Bランク渓流に対策の軸足を移すことに先立ち、新たな評価指標への見直しを急ぐ。
 有識者による「大阪府土砂災害対策審議会」の第1回会合で府は、土石流対策強化に向けた今後の進め方案を提示。9月にも答申を受け、新たな評価指標を固めた上で、次期対策箇所の精査に入る。
 5段階評価ではAランクを「重点箇所」、Bランクを「次期対策候補箇所」、C~Eランクを「対策見送り箇所」に区分している。
 土砂災害防止法に基づく基礎調査の結果によると、府内のAランク渓流は23年度末時点で96カ所あり、74カ所で対策が完了または進行中。残る未着手の22カ所のうち14カ所が今後5年以内に着手、2カ所が他事業で整備を予定するなど対策が着実に進展しており、次期対策へのステージに差し掛かっている。
 重点化評価指標の見直しでは、発災時に寸断されると復旧・救助に大きな支障を来す「緊急交通路」や「緊急輸送路」の有無を新たな評価指標に加える。いずれかが警戒区域内にある場合、優先度判定で道路関係のインフラで唯一の評価対象となっている避難路と同等の5点を加点する。
 Bランク渓流は現行の評価指標で判定するとAランク渓流の3分の2程度の箇所数となるが、評価指標見直しでさらに増える見通しだ。Bランク渓流の土砂災害警戒区域内には居住者や道路など重要な公共インフラが多く含まれるという。
 優先度判定ではこのほか、府内の地区単位でのハザードマップ作成率が98%を超えた現状を踏まえ、ハザードマップ作成を事業化の必須条件にする。これに伴い優先度を1ランク上げる優遇措置の対象から外す。
 ランクアップの優遇措置については避難訓練を実施していたり、点在する危険エリアの解消をまちづくり計画に位置付けたりしている地域への導入を新たに検討する。
 近年は気候変動に起因する集中豪雨が頻発化している。土石流で道路が寸断され孤立集落が発生するなどの被害が相次ぐ中、府は地域の実情に応じたきめ細かな土石流対策を講じることで、災害対応力の強化につなげていく考えだ。