超高強度コンクリ、東京地区で安定供給に不安/大規模案件に影響も

2024年7月5日 行政・団体 [1面]

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 東京地区で超高強度コンクリートの安定供給を懸念する声が上がっている。建築物の大型化などを背景にニーズが増えている一方で、材料に用いるシリカや粗骨材が不足する状況にあるという。超高層ビルでは超高強度コンクリートと共に軽量コンクリートを使うケースがあるが、軽量コンクリート向けの人工軽量骨材も供給力が課題となっている。首都圏では大型建築プロジェクトが続くとみられており、注視する必要がありそうだ。
 超高強度コンクリートの製造には、太平洋セメントの「シリカフュームプレミックスセメント(SFPC)」やUBE三菱セメントの「シリカフュームセメント(SFC)」が用いられる。これらのセメントに必要なシリカが供給不足気味になっている。加えて、超高強度コンクリートに適用できる高品質の粗骨材の供給源が首都圏は1カ所しかなく、供給が間に合わない懸念がある。
 超高強度コンクリートを出荷できる設備を備えた生コン工場は、東京地区生コンクリート協同組合(青木規悦理事長)で5工場程度にとどまる。粘性が強いため一般的な生コンよりも積み込みなどに時間がかかることもあり、もともと1日当たりの出荷量が限定されてきた。こうした状況に材料不足が懸案事項として上乗せされた格好だ。
 軽量コンクリートを巡っては、必要となる人工軽量骨材の製造会社が日本メサライト工業(千葉県船橋市、二宮隆二代表取締役)の1社だけとなっている。同社は15~31日に工場設備の定期修理を行う予定。大型物件が重なると供給が困難になる恐れがあるとホームページで呼び掛けている。
 こうした状況について東京地区生コン協組は、ゼネコンとの連絡会議で報告してきた。ただし、設計で決まっていると施工時に変更が難しいため、大手建築設計事務所と協議するケースもあるという。現場のニーズに応えていくためにも「計画の早い段階から相談してほしい」と話している。