鹿島/山岳トンネル工事でずり出しを自動化・無人化、飛躍的に安全性向上

2024年7月11日 技術・商品 [3面]

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 鹿島は山岳トンネル工事の「ずり出し」作業の自動化に成功した。岐阜県飛騨市の神岡試験坑道で実証工事を実施。自動ホイールローダーによるずり(岩砕)のすくい取りから運搬、荷下ろしまでの一連作業を自動化。機体位置をリアルタイムで推定する「SLAM技術」を活用し、発破のたびに状況が変化するトンネル坑内で、計画経路とのズレを30センチ以内の精度で自動運転する。遠隔操縦のバックホウと連携することで、ずり出し時の切羽近傍を無人化し、安全性を飛躍的に高める。
 ずり出し作業の自動化技術は、同社が開発を進めている次世代の山岳トンネル自動化施工システム「A4CSEL for Tunnel」(クワッドアクセル・フォー・トンネル)の要素技術の一つ。ずり出し自動化で使用する機械は、自動ホイールローダー、遠隔バックホウ、ホッパーフィーダ(積込中継機)、遠隔操作室で構成する。
 発破で切羽近傍に飛散したずりを、自動ホイールローダーで切羽側に集積しながらすくい取り、切羽から40~60メートル後方に配置したホッパーフィーダまで後進してずりを投入。ホッパーフィーダに接続されたダンプトラックへ自動で積み込む。
 すくい取ったずりの重量を自動ホイールローダーのセンサーで計測し、ずりの残量を推定する。残量が一定量以下になった時点で作業効率を保つため、散乱したずりを遠隔操作室のオペレーターが遠隔バックホウで集積し、ずり出しを継続する。
 自動ホイールローダーに搭載したLiDAR(ライダー)の計測データから坑内の地図を作成。SLAM技術によって、発破のたびに状況が変化するトンネル坑内の計画経路とのずれを30センチ以内の精度で自動運転できる。
 今後、ずり出しのさらなる効率化を目指し、より多くの工事・工種に展開できるよう技術開発を進める。