国交省、農水省/10月に労務費調査実施オンラインと書面併用、確実で正確な回答を

2024年7月11日 行政・団体 [1面]

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 国土交通、農林水産両省は10月時点で技能労働者に支払われる賃金を調べる「公共事業労務費調査」の実施内容を公表した。例年と同じく公共工事約1万件を無作為に抽出し、約11万人の技能者を調査対象として積算に用いる51職種ごとに賃金実態をまとめる。国交省と建設業主要4団体が2024年の賃金上昇率として申し合わせた「5%を十分に上回る」水準を公共工事設計労務単価ベースで達成できるかどうかが焦点の一つ。調査対象工事に従事する全技能者で調査票の確実かつ正確な作成が重要であり、国交省は元請企業からの周知徹底を強く呼び掛ける。
 公共工事の積算に用いる設計労務単価を改定する際の基礎データを収集する調査。両省や都道府県、政令市、独立行政法人が発注した1件当たり1000万円以上の工事から調査対象を選定し、8月以降に受注者に通知。受注者と下請企業で10月に現場で働いた労働者の賃金などを調査票に記入してもらう。標本数が少ない38職種は9月分も調査する。
 調査方法はオンラインと書面のどちらかを基本とし、対面調査も選択可能とする。回答内容を賃金台帳や工事日報などと照合し、疑義や修正が生じれば電話で聞き取りする。
 有効標本はここ数年8・5万人前後で推移していたが、23年度は7・8万人に落ち込んだ。オンライン調査は本格運用の2年目。対象工事で一人親方を含むすべての下請企業が確実に回答するよう、元請企業を通じた周知徹底を改めて要請する。無効標本を棄却した割合は23年度に20・3%で年々減っている。現行の労働基準法に準拠した就業規則の設定や賃金台帳などの確認書類の整理を呼び掛け、さらなる改善を目指す。
 調査票には賃金台帳に記載されていない退職金や、不定期の賃金も漏れなく正確に記入する必要がある。前回調査で記入欄を追加した「インフレ手当」なども正確に反映し、賃金実態を可能な限り厳密に把握する。今回は調査票のマイナーチェンジで法定福利費控除額の雇用保険に関する記入欄の桁を増やし1万円以上を記入できるようにした。