東京・千代田区/ペロブスカイト太陽電池実用化促進へ実証実験、YKKAPらと連携

2024年7月11日 技術・商品 [4面]

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 東京・千代田区はペロブスカイト太陽電池の実用化を促進するため、YKKAPらとともに実証実験を始める。同社は窓ガラスと一体となった太陽電池を開発。既存ビルで幅広く活用できる建材で、都市の脱炭素化に大きく貢献する見通しだ。実験ではトレーラーハウスに窓ガラスを取り付けて区内に設置し、データを収集。区有施設などへの導入の可能性を探る。
 9日に連携協定を結んだ。協定には区と同社のほか、トレーラーハウスの運営を担うAkiba.TV(千代田区、吉岡有一郎代表取締役)が参加。樋口高顕区長とYKKAPの魚津彰社長、吉岡代表取締役の3人が協定書に署名した。
 建材は薄く軽いペロブスカイト太陽電池を窓ガラスに取り付け、透明度も確保した。既存ビルに取り付けられる内窓タイプと、新築ビルに適用するカーテンウオールの2種類を用意。建材をYKKAP、関連する電気設備などは関電工が開発する体制とし、両社は5月に業務提携している。
 実証実験ではJR秋葉原駅の駅前広場に、内窓タイプを取り付けたトレーラーハウスを設置する。発電性能や信頼性、今後の展開に向けた課題などを検証。結果を区に報告する。期間は25日から10月20日まで。25日には現地で開所式を開く予定だ。
 トレーラーハウスは期間中、観光情報や環境に関する取り組みを発信するインフォメーションセンターとして機能する。運営をAkiba.TVが担う。
 区は「2050ゼロカーボンちよだ」を掲げ、カーボンニュートラル(CN)達成に向けた取り組みを強めている。導入検討の対象になる区有施設は22年度時点で総延べ36・8万平方メートルの規模。学校施設が約12・5万平方メートルで全体の3分の1を占める。