日本国土開発/機能性吸着材の製造本格化、建材メーカーへの販売目指す

2024年7月12日 企業・経営 [3面]

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 日本国土開発は新領域事業の一環として、2015年から開発や実証に取り組んでいる有害物質を吸着する「機能性吸着材」の製造に本格着手する。11日、福島県南相馬市に建設する製造工場の工事に着手した。さらなる増加が予想されるインフラ更新需要を見据え、エポキシ樹脂に混合して錆(さび)防止やひび割れの補修材など塩害劣化対策としての活用拡大を視野に入れる。工場の操業を始める予定の25年春以降、早期に建設材料メーカーへの本格的な販売開始を目指す。
 同日に南相馬市小高区西部運動場跡地の工場建設地で起工式・安全祈願祭を開いた。菊池泰取締役兼執行役員戦略事業推進室長ら幹部が出席。来賓として門馬和夫市長が参加し工事の無事故・無災害を祈った。
 敷地面積は1万3729平方メートル、工場の構造と規模はS造平屋1141平方メートル。設計・施工は中里工務店(南相馬市、中里徹哉代表取締役)が担当している。
 機能性吸着材はマグネシウムとアルミニウムの複合材。従来の活性炭のような浄水用吸着剤に比べ陰イオン吸着性能が高く、吸着後も分解せず土壌などに溶け出しにくい。
 日本国土開発は30年までの長期ビジョンで高度成長期に集中して建設されたインフラの老朽化対策を、同社が貢献すべき社会課題の一つに挙げており、機能性吸着材を活用している。インフラ老朽化対策以外にもバングラデシュの水処理を支援し、水に含まれていたヒ素を除去した。
 同社はインフラ老朽化対策で塗料や止水材などの化学的な浸食対策で展開することを検討。さらなる用途拡大も目指す。