清水建設/脱炭素型レジンコンクリ開発、福岡市内の道路工事現場で初適用

2024年7月12日 技術・商品 [1面]

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 清水建設は二酸化炭素(CO2)の実質排出量がマイナスになるカーボンネガティブのレジンコンクリートを開発し、福岡市内の道路工事現場に初適用した。残コンから排出したスラッジを乾燥させ、大気中のCO2を吸収。固形物にしたスラッジを粉末状にしたリサイクル石灰をレジンコンクリに混ぜ合わせて、カーボンネガティブを実現した。普通コンクリに比べせん断強度や耐塩害性などで上回るレジンコンクリの優位性がさらに高まる。今後は土木・建築さまざまな構造物への適用拡大を視野に入れる。
 レジンコンクリを製造しているヤマウ(福岡市早良区、有田徹也社長)と3月に共同開発した。福岡市東区の九州大学箱崎キャンパス跡地で施工する都市計画道路の現場で今月から適用。実際には側溝の蓋(ふた)として活用している。清水建設の施工現場でカーボンネガティブのレジンコンクリを適用するのは初めて。
 レジンコンクリは液状樹脂を結合材として無機質骨材や増量材と混合し硬化させた材料。結合材に水や製造過程で多量のCO2排出を伴うセメントといったセメント水和物を一切使用しないのが特徴だ。普通コンクリに比べ、せん断強度が高く部材の軽量化や薄肉化を実現。耐塩害性に優れ耐食が激しい鋼製商品の代替としても適しており、沿岸部周辺の構造物に有効とみられている。
 こうした優位性をさらに高めた形となったのがカーボンネガティブのレジンコンクリ。化学製品製造販売のタケ・サイト(静岡市駿河区、武田雅成代表取締役)が世界で唯一製造しているリサイクル石灰を混ぜ合わせて実現した。リサイクル石灰は生コン工場から排出されるスラッジを、天日干し乾燥によって大気中のCO2を吸収。そのスラッジを破砕し粉末状にしたのがリサイクル石灰になる。
 福岡市内の施工現場でカーボンネガティブのレジンコンクリを実際に適用しているのは、1枚当たり長さ50センチ・幅30センチ・厚さ12センチ程度の側溝蓋。現場を統括する清水建設の中村武志工事長によると、普通コンクリに比べ35%程度の軽量化も実現したため施工性にも優れている。
 カーボンネガティブのレジンコンクリ開発を先導した同社土木技術本部イノベーション推進部生産システムグループの宇野昌利主査は、塩害に強いメリットを生かし洋上風力発電設備の基礎など海洋構造物で優位性があると見ている。