都道府県・政令市/半数以上でスライド条項の適用増、品確法踏まえ基準を

2024年7月12日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省が都道府県・政令市発注工事でのスライド条項の運用状況を調査したところ、2023年度に適用した工事件数が22年度より増加したのが半数以上の36団体に達した。建設資材価格の急騰は以前より落ち着いたとはいえ、引き続き上昇・高止まり基調にある。改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)でスライド条項の適切な運用が発注者の責務と位置付けられたことを踏まえ、市区町村も含めて運用基準の策定などを強力に推進する必要がありそうだ。
 資材価格の急騰局面にあった22年度は、スライド条項の適用件数が21年度より増加したのが57団体。うち11団体は10倍以上に急増し、スライド条項を活用した価格転嫁対応が地方自治体発注工事で進展した。23年度は22年度に急増した反動からか、25団体で適用件数が減少する一方、過半数の団体は22年度を超える水準となった。
 物価資料を刊行する民間機関の調査によると、下落局面に入った木材などを除き、さらなる値上げの動きがあるセメントをはじめ資材価格は多くの品目で上昇気配にある。今後の価格変動に備える意味でも、市区町村を含む各団体で適切に運用可能な基準づくりが求められる。
 これまでスライド条項の位置付けは公共工事標準請負契約約款上の規定にとどまっていたが、先月公布・施行した改正公共工事品確法では適切な運用を法律上の発注者の責務として明確化した。運用基準の策定と、それに基づく実際の契約変更を含めた対応を公共発注者に強く促す。
 単品スライドとインフレスライドの両条項で全都道府県・政令市が運用基準を策定済み。ただし市区町村は策定団体が年々増えているものの、23年7月時点で策定しているのは単品スライドで全体の46・5%に当たる801団体、インフレスライドで44・3%の762団体にとどまる。過半数を占める未策定団体には改正品確法を踏まえた早急な対応が必要だ。