回転窓/街路樹の恩恵

2024年7月16日 論説・コラム [1面]

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 うだるような暑さの日中は、歩道を歩いているだけでもつらい。そんな時は信号待ちで街路樹がつくる木陰に入り、先客がいればつかの間の涼を共有している▼身近な街路樹には〈夏の日差しをさえぎったり、排気ガスや騒音をやわらげ、道路沿いの環境を守ります〉などといった役割がある(東京都建設局ウエブサイトより)。中でも今の季節は強い日差しを遮断してくれるのが何よりありがたい▼街路樹の歴史は古い。近代では1870(明治3)年、都内の新島原(京橋)と根津門前(本郷)の道路中央にサクラが植栽されたという。恐らくこれが明治に入り東京で初めての街路樹と、映画監督・脚本家の樫原辰郎氏が『帝都公園物語』(幻戯書房)に書いている▼都市やまちにグリーンインフラとして恩恵をもたらす街路樹だが、大径木化や過密化、根上がり、落ち葉、倒木などが問題となることも。それぞれの地域や沿道に適した形での効果的、効率的な維持管理が求められる▼小欄がいつも目にする街路樹は、毎年11月ころに葉がきれいな黄色に染まる。いずれ来る秋の姿を思い浮かべながら、厳しい暑さを乗り越えよう。