中央日土地グループ/初の木質オフィスビル開発へ、設計・施工は竹中工務店

2024年7月16日 工事・計画 [4面]

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 中央日本土地建物グループは同社グループ初となる木質オフィスビル「(仮称)西新橋一丁目プロジェクト」(東京都港区)の開発を決め、12日に概要を発表した。中大規模木造で優れた技術を持つ竹中工務店と連携。荷重支持部材に集成木材を使用するほか、柱や天井といった内装も木質化し、上質な空間に仕上げる。建物は延べ2600平方メートルの規模とし、同社の設計・施工で15日の着工、2026年2月の竣工を目指す。
 12日に東京都内で記者会見を開き、概要を説明した。計画地は西新橋1の104の6ほか(地名地番、敷地面積338平方メートル)。都営地下鉄内幸町駅に近接し、日比谷通りに面する。建物はS・W造10階建て延べ2623平方メートルの規模で計画。同社が展開するオフィスシリーズ「REVZO」の5号物件となる。
 柱の一部に竹中工務店が開発した「燃エンウッド」を採用する。荷重を支持する集成木材を石こう系材料の燃え止まり層で包み、さらに木材の燃え代層で覆った建材。木材をあらわしで使用でき、耐火性能も確保する。
 天井には竹中工務店と日鉄建材が共同開発した建材「KiPLUS DECK(キプラスデッキ)」を導入する。デッキ合成スラブとCLT(直交集成板)を組み合わせ、木質の天井を実現。CLTには一定の隙間を空け、照明や消防設備などが配置できる。建築環境総合性能評価システム(CASBEE)や建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)の認証取得を予定する。
 中央日本土地建物グループはコロナ禍を経た出社率の低下を踏まえ、オフィスを高付加価値化する一環で木質化を決めた。ただコストがかかり事業性に課題があるため、同種物件の展開は現時点で予定していない。今回の物件を研究材料に、中大規模木造建築物の維持管理などに関しても知見を深めていく。