日建連、鉄道運輸機構/働き方改革推進へ委員会設置、施工管理効率化など3WG

2024年7月17日 行政・団体 [1面]

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 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)と鉄道建設・運輸施設整備支援機構は、「鉄道建設工事働き方改革推進委員会」を設置した。鉄道工事の品質確保と働き方改革の推進が目的。書類の削減といった施工管理の効率化、DXの推進、労働環境の安全性向上の三つをテーマに受発注者で改善に向けて検討する。担い手が特に不足しているとされる鉄道工事の働き方改革を前進させる。
 鉄道運輸機構の呼び掛けで5月、同委員会を設置した。鉄道運輸機構側は部長級が、日建連側は鉄道安全委員会、鉄道工事委員会のメンバーが参加する。検討テーマに応じて委員会内に▽建設DX推進▽施工管理等効率化推進▽工事安全推進-の三つのワーキンググループ(WG)を設けた。
 特に検討を急ぐのが施工管理等効率化推進WG。工事書類の削減・電子化、オンライン納品の促進、遠隔臨場の活用などを主な検討テーマとする。受注者の負担となっている書類についてヒアリングやアンケートを実施し、年度内に取りまとめを公表する。
 建設DX推進WGでは、建設DX技術の導入やBIM/CIMの活用を通じて工事プロセスの最適化を目指す。工事安全推進WGは事故事例を共有したり、ICTを活用したりして安全意識の向上や安全対策の徹底を推進。労働災害や公衆災害の予防に取り組む。
 委員会設置の背景には、鉄道建設分野の人手不足に対する鉄道運輸機構の強い危機感がある。鉄道運輸機構の藤浪武志建設企画部担当課長兼経営企画部担当課長は「鉄道建設の業界は裾野が広くない。技能者不足などの問題は、建設業全般と比較してより深刻だ」と指摘。入札不調も発生していることから「現場環境を改善しないと落札されないという問題意識がある」(藤浪氏)。
 鉄道運輸機構は2023年10月に「建設DXビジョン」を策定。5月に作成したビジョンの具現化に向けたロードマップでは5年以内に出来形管理・書類のデジタル化を掲げている。
 建設業の2024年問題を受け、主要発注機関が受注者の負担軽減に向けて動いている。国土交通省では23年度に工事書類のスリム化に向けたガイドラインを各地方整備局が作成。東日本、中日本、西日本の高速道路会社3社は3月、日建連と共同で働き方改革の対応方針を公表した。