東北整備局宮城南部復興/内川など河川災害復旧・助成、事業期間を1年延伸

2024年7月18日 工事・計画 [6面]

文字サイズ

 ◇事業費26億円増
 東北地方整備局宮城南部復興事務所は2019年10月の台風19号からの復旧事業として、宮城県からの要請で直轄権限代行で推進してきた内川流域などの河川災害復旧・助成事業(宮城県丸森町)の完了時期が1年後ろ倒しの25年度になると発表した。事業費は工期延長などで26億円増額の約156億円を見込む。掘削土砂の土質改良や巨石の処理、山下堰や旧五福谷橋の改築など設計時に予期しなかった工事の発生を変更理由に挙げた。
 阿武隈川水系の3河川(内川、五福谷川、新川)では、台風19号による決壊箇所、護岸の復旧、流下能力を向上させる河道掘削、堤防の機能強化などの改良工事を施工している。区間は、改良復旧が約8・5キロ、単災が約3・3キロ。河道掘削は全体の9割相当が完了。築堤は5割程度の進捗となっている。新たな工事は25年度にかけて別途発注する予定だ。
 事業の課題の一つである河道掘削で発生した大量の残土や転石は、砂防ソイルセメント(INSEM工法)で土質改良処置を講じた上で築堤盛り土材や河岸保護材に有効活用している。巨石が多く発生する内川などの流域では、細かく粉砕して護岸用石材に利用するなどの工夫を凝らしている。
 このほか特定緊急砂防事業では、内川、五福谷川、新川の3河川で大規模な遊砂地整備工事に着手。このうち新川では遊砂地の主堰堤や上流に位置する土ケ森砂防堰堤の改築工事が完了。並行して既設砂防堰堤6基の機能強化を目的としたスリット化、かさ上げなどの改築、新設4基などに着工している。完了時期は26年度、事業費は183億円を予定している。
 丸森町内の現場で17日、河川、砂防事業の現状を報告する報道陣向け説明会を開いた。八重樫博男副所長(河川・砂防担当)は「残り2年でいかに効率よく施工していくかが重要になる。建設会社の皆さんの知恵を借りながら、安全に工期内の完成を目指す」と力を込めた。