全建会員調査/現場の生産性向上へ社内書類削減で支援、発注者の書類の多さ指摘も

2024年7月18日 行政・団体 [1面]

文字サイズ

 建設現場の生産性向上が喫緊の課題となる中、全国建設業協会(全建、今井雅則会長)の会員が現場の負担を軽減させる取り組みを加速させている。会員企業へのアンケートによると、管理業務の生産性向上を目的に行った現場支援では回答企業の約4割で「社内書類の削減・簡素化」に取り組んでいることが分かった。ただ、会員からは「発注者の書類がまだまだ多い」「生産性向上関連ソフトの導入コストが高い」といった声が上がっており、生産性向上の実現には課題も多い。
 「令和6年度生産性向上の取組に関するアンケート」は4、5月に実施し、会員企業1496社の回答を得た。会員企業の主な受注先は都道府県(50・3%)、市区町村(19・2%)、国土交通省(19・0%)の順に多く、約7割の社が主に地方自治体から工事を受注している。アンケートでは生産性向上に向けた取り組み状況などを質問した。
 生産性向上を目的に実施している取り組み(複数回答可)を聞いたところ、「社内書類の削減・簡素化」(41・2%)が最も多く、次いで「受発注者間のASP方式による現場情報共有」(38・8%)、「バックオフィスの構築」(27・7%)と続いた。
 生産性向上全般に関する自由記述のうち、書類の削減・簡素化では発注者側から求められる書類の多さを指摘する声が寄せられた。発注者主導で工事関係書類の削減が進む一方で、「(発注者からの質問に対応するための)バック資料の書類があり、簡素化したとは思えない」との意見もあった。
 全建は今後、アンケートで得た意見などを発注機関との意見交換や要望に反映させる。人口が減少している中、全建の担当者は「今と同じ事業量を確保するには効率的な施工は避けて通れない。平常時に生産性向上ができていないと、災害時の活動も難しくなるのではないか」と危惧する。