国交省/建築確認のBIM図面審査、26年春開始へ指針・ツール整備

2024年7月19日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省は、BIMを活用した建築確認申請を実現する環境整備の第1ステップとして「BIM図面審査」の大枠を固めた。同省が設置する建築BIM推進会議の下部組織「建築BIM環境整備部会」が18日開いた会合で、ガイドラインや申請・審査の実施ツールの素案を説明。関係団体への意見照会などを踏まえ正式に策定し、運用準備を経てBIM図面審査を2026年春に開始する。次のステップとしてBIMデータそのものを活用する「BIMデータ審査」を29年春に開始する目標も示した。
 ガイドラインなどの素案は、学識者や関係団体で構成する同会議でBIM図面審査のスキームづくりを担う「審査タスクフォース」の検討成果として報告された。
 24年度中に申請・審査のマニュアルや実施ツールを含めた指針・ツール類をほぼ確定させ、25年度は実務者への周知など運用準備に充てる。申請手続きに利用する確認申請用CDE(共通データ環境)システムの構築も進める。
 実施ツールとしてBIMデータの「入出力基準」と「設計者チェックリスト」を策定する。申請者は入出力基準に沿ってBIMデータを作成。そこからIFC(BIMの共通ファイルフォーマット)データと2DのPDF図面を出力し、設計者チェックリストとともに確認申請用CDEを通じ提出する。実際の審査対象となるのはPDF図面だけで、IFCデータは参考資料として建物形状の伝達・把握に利用する。
 設計者チェックリストは入出力基準に従ってBIMデータを作成したことを設計者が申告する書類となり、これに基づき審査者は図面の整合性の確認を省略する範囲を確認する。BIMの活用で申請者は整合性の高い申請図書を作成でき、審査作業の一部省略により審査期間の短縮も期待できる。確認申請用CDEの活用で申請データの提出や指摘事項の対応も効率化する。
 26年春の段階では一部の指定確認検査機関で運用を開始する方向で、27年度の全国展開を目指す。今月末にはガイドラインなどの素案を同会議のホームページで公開し、関係団体に意見照会を依頼する。これとは別にBIM図面審査の利用意向などに関するアンケートを実施し、今後の検討の参考にする。