関東整備局/能登半島地震教訓に海上の物資輸送訓練、船舶輸送を確認

2024年7月22日 行政・団体 [5面]

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 関東地方整備局は18日、船舶による沿岸航行・緊急物資輸送訓練を千葉県銚子市の銚子マリーナで実施した。能登半島地震で海上輸送が重要な役割を果たしたことを教訓に、道路の寸断を想定して緊急物資に見立てた段ボール箱を運んだ。訓練には関東整備局千葉港湾事務所の齋田信一所長や鹿島港湾・空港整備事務所の大谷琢磨所長のほか、銚子市の越川信一市長らも参加した。千葉県内で同訓練を行うのは初めて。
 訓練では茨城港常陸那珂港区から港湾業務艇「ひたちII」(全長16・7メートル、総トン数19トン)が約3時間かけて銚子マリーナに来港。接岸後、積んできた段ボール箱を職員らがリレー形式で陸揚げした。訓練は非常時に備え、接岸に当たっての岸壁や港内などの状態を確認するのが目的。荷下ろし後、艇内の見学なども行った。
 能登半島地震では幹線道路が軒並み寸断され、初動対応に影響を及ぼした。陸路が使えず、道路啓開用の重機を海上自衛隊のホーバークラフトで陸揚げするなど海上輸送が効果を発揮した。関東でも房総半島などで大規模地震が起きた場合、海上からの物資輸送が重要になる。関東整備局港湾部では「命のみなとネットワーク」と称して沿岸航行と物資輸送の訓練を各地で実施。今回、千葉県内で初の開催となった。
 訓練に参加した千葉港湾事務所の齋田信一所長は「災害時、船舶によってさまざまな支援が可能になるが、港に入るには事前にその港の情報が必要。今回の訓練で港の水深や施設を実際に船を接岸させて確認できた。こういった経験が実際の災害時に有効に結び付く」と振り返った。
 自ら物資の陸揚げにも参加した越川市長は「銚子マリーナは水深が3メートル程度しかなく喫水はギリギリの状況。隣の名洗港を洋上風力のメンテナンス基地として整備しており、水深を確保し大型船が入れるようにすることが必要だ」と指摘した。