環境省/国立公園にホテルなど誘致、全国35カ所で事業展開

2024年7月22日 行政・団体 [2面]

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 政府が19日に開いた観光立国推進閣僚会議(議長・岸田文雄首相)で、環境省は2031年までに全国35カ所の国立公園で宿泊施設の誘致など魅力向上を図る事業を展開する方針を示した。地方自治体や民間事業者の関心が強い地域が先行する形で、説明会やサウンディング(対話)調査を速やかに実施。学識者の意見も聞き、全国展開のスキームや実施主体となる民間事業者への協力・支援方策を並行して検討する。
 環境省は国立公園での滞在型・高付加価値観光を推進するため、民間活力による滞在体験の魅力向上の「先端モデル事業」を▽十和田八幡平▽中部山岳▽大山隠岐▽やんばる-の4公園で進めている。例えば十和田八幡平国立公園では、基本構想を策定した上で集中的に取り組む利用拠点の一つとして休屋・休平地区(青森県十和田市、秋田県小坂町)を選定し、マスタープランを検討。25年度に高級ホテルなど宿泊事業者の誘致場所や公募要件を決め、26年度内に公募・決定する予定だ。
 こうした先端モデル事業で得た知見を全国展開に生かす。同会議で岸田首相は国立公園制度100年を迎える31年を目標年次に挙げ「地域の理解と環境保全を前提に、世界水準のナショナルパーク化を実現すべく」民間活力を生かした魅力向上事業を実施するよう指示した。
 これ以外に同会議では航空燃料の供給不足に対応する行動計画を決定。地方の高付加価値なインバウンド観光地づくりのため、モデル地域の11カ所に加えて3カ所を追加する検討を加速。インバウンドの2次交通を確保するため、国土交通省の「交通空白」解消本部を司令塔に自治体と連携し、交通空白の解消と利便性の確保に取り組むことも確認した。