復興庁/東日本大震災2期創生期間総括、維持管理に移行へDXや民間活力活用を

2024年7月22日 行政・団体 [1面]

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 復興庁は18日、東日本大震災の第2期復興・創生期間(2021~25年度)の施策を総括するワーキンググループ(今村文彦座長)を開き、地震・津波被災地域などに関する今後の取り組み方針を固めた。公共インフラなどのハード整備は「おおむね完了」とした上で、維持管理段階に入ったことで施設の有効活用とDX、民間活力の活用を進めるよう求めた。宅地造成は集約整備などの取り組みが必要と指摘した。
 「第2期復興・創生期間までの復興施策の総括に関するワーキンググループ(WG)」の4回目の会合を開いた。地震・津波被災地域などに対する施策の総括を大筋で取りまとめた。政府の復興推進委員会に報告される。
 津波被災農地の約2万ヘクタールでは、福島県の原子力被災市町の一部(820ヘクタール)を除き、96%で営農が再開された。防潮堤は計画された621地区が残り5地区(23年9月末)となったことなどから、ハード整備はおおむねの完了を確認したと報告。その上で「整備されたハードの活用を考える段階」と指摘し、必要なデータの整理と合わせて民間活力の導入などで施設を有効活用するよう提案した。
 住まいとまちの復興については、「計画された宅地造成は整備完了済み」と報告した。これまでの議論では、なりわいとの兼ね合いで集約できなかった小規模集落の維持が難しくなりつつあることが懸念された。そのため次に災害が起きた場合は「宅地造成に当たって適切な規模に集約して整備を行う」など持続可能性を踏まえた対応が必要だとした。
 対象期間に実施された施策の効果のうち、漁港は319漁港すべてで陸揚げ岸壁の機能が22年3月までに回復した。壊滅的な被害を受けた地域の建築物の用途制限緩和は、九つの復興推進計画が認定され、岩手県釜石市、陸前高田市、宮城県七ケ浜町、女川町、南三陸町、名取市で活用された。
 工場の緑地等規制は150以上の事業で緩和のための特例が講じられた。震災復興特別交付税からの地方単独事業は23年度の交付決定額が108億0500万円(前年度比20・9%減)で、単独災害復旧事業費は交付決定額が1億3700万円(84・8%減)となった。
 WGは今後、原子力災害関連の総括などを議論する。