適正工期確保宣言、8割超で契約に反映/日建連23年度下期フォローアップ調査

2024年7月22日 行政・団体 [1面]

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 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は19日、2023年9月に本格実施した「適正工期確保宣言」に関する調査報告書を発表した。民間建築工事の発注者に提出した初回見積もりの96%で、時間外労働上限規制を順守できる「真に適切な工期」の設定に向け取り組んだ。調査期間中に契約した1154件のうち、同工期が契約に反映されたのは83%に当たる955件。宮本会長は「(発注者に)しっかり対応していただいている」と受け止めた上で「まだ宣言を始めて半年。今後の動きを注視していく」とした。=2面に関連記事
 日建連が適正工期の確保状況について調査するのは今回が初めて。同宣言の実施要領に基づいたフォローアップ調査報告として、23年度下半期(10月~24年3月)の状況をまとめた。会員140社のうち87社が回答した。
 対象期間に提出した初回見積もりは2426件。真に適正な工期に基づく工程を算出した上で、発注者に工期・工程を提示したのが1849件(76%)。発注者指定の工期が提示された中で、真に適切な工期の理解を得る説明をしたのが482件。初回見積もりのすべてを真に適切な工期で提出した22社を含め回答した会社の6割以上が、初回見積もりの75%以上を真に適切な工期で提出していた。
 調査期間中に契約したのは1154件。うち955件(83%)は、真に適切な工期が契約に反映され、「民間発注者に理解いただけている」(日建連)と見ている。ただ199件(17%)は「説明を行ったが、要望は受け入れられなかった」などの理由で反映されなかった。リニューアル、国策工事、補助金事業で竣工時期が指定されたり、オープン時期や事業計画が制約されたりする案件が、契約に反映されない事例として挙がった。
 真に適切な工期を巡っては、原則すべての案件で取り組みを進めているのが50社(69%)で、うち7社(10%)は発注者や案件ごとに進めていた。経営トップからの通達・指示で原則すべての案件を対応にしているのは43社(59%)あった。
 真に適切な工期が契約に反映された工事については、「継続的取引のある発注者が多く、適切なコミュニケーションが図れていた」という報告があった。「客先も2024年問題に伴う工期について懸念を抱いており、ゼネコンの意見を聞き入れて事業計画を行う風潮にある」とみている会員企業もいた。
 日建連は23年7月、時間外労働の罰則付き上限規制を順守するための「適正工期確保宣言」を決定した。