竹中工務店ら/90年までの気象変化予測、建築物の気候変動対策強化

2024年7月25日 技術・商品 [3面]

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 竹中工務店らは気候変動の影響を加味した建築物新築・改修計画立案の参考データとして、全国の計約840地点で2090年までの気象変化を予測するシステム「Met.box(メットボックス)」を開発した。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の気候変動シナリオに基づき、1時間ごとの雨量や湿度などを予測。同社はメットボックスを用いて顧客の計画を評価し、ライフ・サイクル(LC)で温熱的快適性やエネルギー性能、安全性などに優れた付加価値の高い計画を提案していく。
 ◇主要7都市のデータ公開
 24日に発表した。メットボックスは九州大学やウェザーニューズ、英エクセター大学と共同開発。社会貢献の観点から気象変化予測データの抽出対象約840地点のうち、主要7都市(札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡)のデータに限り同日付で一般公開を始めた。
 メットボックスは、IPCCの気温上昇予測3パターン(2・6度、4・5度、8・5度)を想定し、全国約840地点で90年までの1時間単位の▽気温▽風速▽雨量▽湿度▽日射▽大気放射量-の計6項目を予測したデータが抽出できる。標準的な現象のデータに加え、数十年に一度発生するような豪雨や熱波といった異常気象のデータも含まれる。標準的な現象のデータは建物の年間エネルギー消費量や二酸化炭素(CO2)、快適性の評価に使用し、異常気象のデータは建物のリスク評価に使用する。
 竹中工務店によると、一般的に気候変動の影響を加味した従来の建築計画は過去観測値を参考にしている。メットボックスを同社のZEB設計ツール「ZEBIA」など従来の評価ツールと組み合わせて活用することにより、計画立案から運用、解体に至るLCで最適な計画を評価する。