回転窓/ふるさと納税の使われ方

2024年7月25日 論説・コラム [1面]

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 生まれ育ったまちへの恩返しになればとふるさと納税を考えている。なるほどと思える返礼品だが、他の自治体も調べてみると特産品をはじめ旅行チケットやイベント観賞といった体験を重視したものなど、その多彩さには驚く▼長野県小谷村が返礼品に村内の水力発電所で発電した電気の提供を始めた。同県のほか中部4県(岐阜、静岡、愛知、三重)に居住し電気契約している世帯が申し込める▼村は2020年に気候非常事態宣言を表明し、50年までに二酸化炭素(CO2)排出量実質ゼロを目指している。1万円の寄付で150キロワット時を提供し、CO2排出量は70キログラム削減されるそうだ▼総務省は先月、ふるさと納税に関する基準を見直すと発表。来年10月から利用者にポイントを付与する仲介サイトで自治体が寄付を募ることを禁止する。サイト間でのポイント競争の過熱を問題視した措置。自治体が仲介サイトに支払う手数料やポイントも税金で賄われていることを踏まえると致し方なかろう▼納めた税金で育ったまちや応援したい地域に活力が生まれてほしい。返礼品だけではなく使われ方にもっと目を向けなければ…。