国交省/不調不落対策で自治体に働き掛け、部局間連携や改正法踏まえ積算工夫を

2024年7月26日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省は改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)を踏まえた公共工事の不調・不落対策の導入を地方自治体に働き掛ける。地域の実情を踏まえた適切な入札参加条件や規模による発注など、改正法に盛り込まれた事項への対応を促す。都道府県などでは入札等級の緩和や発注ロットの拡大、見積もりを活用した積算といった対策が自治体内の土木工事担当部局で先行しており、建築や機械など担当部局が異なる工事での水平展開に向け自治体内部の垣根を越えた緊密な連携を訴える。
 都道府県・政令市の計67団体に2024年度の当初時点で導入する不調・不落対策を工事種類別(土木・建築・機械)に聞いた。
 入札要件を緩和する対策を土木工事で実施するのは▽等級要件の緩和=46団体▽地域要件の緩和(復旧・復興JV以外)=37団体▽工事実績の同種工事要件の緩和=23団体▽工事実績の発注機関の緩和=21団体▽復旧・復興JV=13団体。いずれの対策も建築と機械で実施団体数が若干少ないが、それほど大きな傾向の差は見られなかった。
 受注側のメリット拡大につながる対策は土木が大きく先行する。発注ロットの拡大は土木で41団体が実施するが、建築と機械では各29団体と半数以下にとどまる。余裕期間制度は土木で59団体、建築で45団体、機械で50団体が導入する。
 予定価格と実勢価格の隔たりを防止する対策も有効だ。見積もりを活用した積算に取り組むのは土木で29団体。建築と機械は各20団体とやや少ない。改正公共工事品確法では適正な予定価格の設定が難しい「特別な事情」がある場合、見積もり活用などの積算方法の工夫を容認。週休2日を促進する補正係数などを用いる際の法的根拠になる。労働者や資材を遠隔地から確保する費用を計上する団体もある。
 これ以外の具体策として、現場代理人の常駐義務の緩和など技術者要件の緩和に取り組む団体が多い。発注・施工時期の平準化として債務負担行為や繰り越し明許の活用、発注見通しの臨時公表や回数増に取り組む団体もあり、自治体内の部局間で連携した対策が一層求められる。