回転窓/平和につながる五輪に

2024年7月26日 論説・コラム [1面]

文字サイズ

 パリ五輪が本格的に開幕する。開会式の舞台はセーヌ川。競技場以外での実施は夏季五輪で初めてで、どのような演出になるのか注目が集まる▼日本勢の活躍を期待する人も多かろう。史上最強と評されるバレーボール男子は金メダルを獲得すれば52年ぶりとなる。柔道では、前回の東京五輪で兄妹同日優勝を果たした阿部一二三選手と阿部詩選手の連覇に期待がかかる▼新競技も話題に上る。今回唯一の新競技はブレイキン(ブレイクダンス)。1対1のバトル形式で、流れる楽曲に合わせた即興のパフォーマンスを競う▼ブレイキンは米ニューヨークの貧困地区で生まれた。縄張り争いが激化する中、DJだったギャングのボスが、殺し合いではなく音楽での勝負を提唱し広がったという。苦しみから生まれたストリートカルチャーが五輪という舞台にたどり着いた物語に大きな希望を感じる▼戦時下で開かれる今回の五輪。選手村にスポーツを通じた平和の実現を願う「五輪休戦の壁」が設置された。自国の勝ち負けに一喜一憂するだけではなく、多くの国・地域にとっての平和に思いをはせるきっかけにもしていきたい。