日合協/製品・運搬の単価分け要請、需要低迷で採算改善・需要喚起も

2024年7月26日 行政・団体 [2面]

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 日本アスファルト合材協会(日合協、今泉保彦会長)は、採算改善と舗装需要の喚起を巡る取り組みを強化する。アスファルト合材の設計単価を運送費込みの「現場着単価」から、製品単価と運搬単価を分けて計上するよう国土交通省に求める。製造数量を確保しようと動いている地域の協会の活動や事例の周知に力を入れ、工場が受け入れているコンクリートがらの需給ギャップの行方も注視する。
 会員工場の4~6月のアスファルト合材製造数量は、前年同期比3・9%減の709万トンにとどまった。各月とも前年を下回り、数量は過去最低を更新した。
 物価調査会社によると舗装原材料のストレートアスファルトの平均価格は、7主要都市とも2022、23年度が1キロリットル当たり10万円以上で推移。24年6月は11万~12万円台で高止まりしている。製造コストが上昇する中でも、需要の低迷から値上げが難しくなっている地域があるとされる。
 ダンプ輸送事業者の実態調査を踏まえ、国交省は22年11月、ダンプトラックの「標準的な運賃」は大型車(10トンクラス)の「2割増」という通知を全日本トラック協会会長宛てに出している。時間外労働規制が適用され、合材運搬に使われる10トンダンプトラックでも一定経費を賄うのに必要な1時間当たりの常用単価や、1トン当たりの単価は上昇が続くと見られている。
 舗装合材の出荷は、都市部と地方部で時間や距離が異なる。運賃が歩合制であれば運転手の収入が安定せず、時間制運賃の必要性が高まっている地域がある。日合協は政府が価格転嫁をサプライチェーン(供給網)全体の問題と捉えている状況も踏まえ、製品と運搬の単価を分けた設計を要請する考え。分かれた場合、新たな単価設定を伴うが、「今までの商習慣では厳しい」(幹部)として対応に乗り出すことにした。
 地域の46協会が回答した調査によると、45協会が運送費込みの現着単価で設計が行われていると回答した。実勢単価の反映を追求していたり、県が独自に現着単価を設定していたりすることで、単価の分離を不要と考える意見が各協会内にあるものの、42協会は単価の分離に前向きな姿勢を見せていた。
 製造数量が減っていることで、21協会が数量の確保に向けた活動を行っている。そのうち16協会は、官公庁に対する陳情や意見交換を実施した。舗装工事の財源確保も要望している。「合材協会だけでは難しい」「成果につながらない」として、数量の確保に動いていない協会もあるため、日合協は各協会の取り組みを紹介していく。
 コンクリートがらの需要調査(複数回答)の回答は、過剰が18協会、不足は12協会、適量は18協会だった。おおむねの状況は大規模な再開発などが進む大都市圏で過剰、地方圏は不足にあり、過剰な地域は対策に受け入れ制限や再生材利用法の再検討などを挙げた。需給は再生材の出荷と密接に関係するため、各地の動向を注意深く見ていくことにしている。