国交省/直轄土木で3D設計試行、3Dモデルと連動し2D図面作成

2024年7月29日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省は直轄工事で土木構造物の3Dモデルと2D図面が連動した3D設計の試行に乗り出す。現状のBIM/CIM適用の設計業務では2Dで設計を行った後に3Dモデルを別途作成する非効率な運用となっており、それぞれの整合性も根拠を持って確認できていない。まずは構造物の主要部分に限って3Dモデルと連動した2D図面を作成する試行業務を各地方整備局で行う。実施内容と効果を確認しながら3~5年で一般化し、将来は3Dモデルを活用した設計照査の自動化を目指す。
 産学官組織の「BIM/CIM推進委員会」が26日開いた会合でBIM/CIMを活用した生産性向上のため先行的に進める取り組みの一つとして提示した。
 試行業務ではコンクリート構造物の場合、3Dモデルと2D図面の連動を構造体の形状で求め、配筋には求めない。土構造物の場合、ICT施工や3D計測技術を用いた出来形管理で活用する土工などの部分に限って連動を求め、舗装・排水施設などの付属物や接続道路などの連続性が確保されない箇所では不要とする。
 まずは設計ソフトの現状などを踏まえ、主要部分で3Dモデルと2D図面の連動を求める段階から始める。すべての箇所の精度を細かく求めると非効率のため、2D図面を作成する箇所だけで3Dモデルの詳細な精度を確認する。2D図面を作成していない測点間は現地合わせで施工する。
 3Dモデルと2D図面の連動により整合性が担保されることで、BIM/CIMの効果として形状の可視化だけでなく、設計精度の向上や監督・検査での活用も期待できる。試行業務では3Dモデルから切り出して2D図面を作成した場合を除き、連動の根拠を発注者に説明することにする。
 将来像として詳細や付属物も含めて3Dモデルだけで設計が完結する姿を描く。さまざまな施工条件などから3Dモデルを生成する「パラメトリックモデリング」などで設計を自動化する。