大阪府/土砂・洪水氾濫に新対策、佐保川と千早川をモデルに

2024年7月29日 行政・団体 [10面]

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 大阪府は、近年の気候変動に伴い激甚化している豪雨災害などに備え、土石流や急傾斜地崩壊のリスクを軽減する新たな土砂・洪水氾濫対策に乗り出す。淀川水系佐保川(茨木市域)と大和川水系千早川(千早赤阪村域ほか)をモデル流域とし、ハード・ソフト施策を総合的に実施する「流域治水砂防」の考え方を採用。2024年度に対策イメージ案を作成し、25年度以降に具体化する。モデル流域での対策効果を見極めた上で他流域へ展開し、府民の安全・安心な生活の一層の確保を目指す。
 有識者による「大阪府土砂災害対策審議会」の第1回会合で、モデル流域での検討手順案を提示。9月にも答申を受けた上で、関係部局が連携し実現性のある対策の検討に入る。
 モデル流域では大雨などで地面が削れ川に流れ込む土砂量(生産土砂量)の調査や流出解析、河床変動計算、氾濫解析を実施し土砂処理計画を検討する。その後、対策イメージ案をベースに砂防・治山ダムなどの施設配置計画を固める。
 ソフト施策は土砂・洪水氾濫リスクの開示など、地域住民に対して適切な情報提供を行う。居住誘導区域内移転への優遇措置を拡充し、リスクの高い地域からの移住も促す。関係機関や学識経験者と連携を強化し、最新の研究成果や技術を取り入れながら効果的な土砂・洪水氾濫対策の実現を目指す。
 府は国土交通省が砂防技術検討会での議論を経て、22年3月に策定した「土砂・洪水氾濫により大きな被害の恐れのある流域の調査要領(案)(試行版)」に基づき、対象流域の抽出作業に着手。二つのモデル流域は土砂・洪水氾濫の発生・被害ポテンシャル調査などを踏まえ80流域の中から絞り込んだ。