国交省、日建連/上限規制適用で運送などの工程影響に対処、フォローアップ会議で議論

2024年7月30日 行政・団体 [1面]

文字サイズ

 国土交通省と日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は5、6月に全国9地区で行われた意見交換会の内容を踏まえ、公共工事の諸課題への対応策を深掘りする。時間外労働の罰則付き上限規制への対応策は、4月に適用となってからの現場実態に則した形で具体化。資機材の運搬、ポンプ車やクレーン車の稼働などでも制約が生まれ工程管理に影響に与えると予想されることから、直轄工事の現場で実際に生じる課題を把握した上で打開策につなげる。
 26日に東京都内で2024年度意見交換会フォローアップ会議の初会合を開いた=写真。国交省と日建連の実務者レベルで今回を含めて3回程度の議論の場を持ち、働き方改革の推進や入札契約の改善、生産性向上、担い手確保といった課題への対応策を年度末までにまとめる。初会合の冒頭、奥田晃久官房技術調査課長は「業界をリードする日建連と協力し具体的な取り組みを進めたい」と話した。議論は非公開で行われる。
 国交省によると、働き方改革の議題の一つとして上限規制対応を議論。運送業への規制適用などに伴う予期しない事態には受発注者の協議を踏まえた工程変更などを想定しているが、より踏み込んだ対応を検討する。土日現場閉所の完全週休2日の実現や、書類簡素化の取り組みを受発注者の隅々まで周知徹底するための方策なども話し合う。
 入札契約制度では、技術力を重視した総合評価方式への改善に重点を置く。調査基準価格を上回るわずかな入札価格の差で落札者が決定されている実態の改善に向け、日建連が提案する段階的な価格評価点の導入などを検討する。
 受注者が提案する新技術・新工法の現場実装を促進し、生産性向上につなげる方策も検討する。遠隔臨場を用いた工事検査を本格運用してからの動向をフォローアップし、ICTを活用した施工管理に当たって通信環境を整備した際の費用負担の在り方を検討。日建連が推進する技術開発の協調領域の調査・検討に国交省も参画し、今後の試行工事の実施を視野に入れる。
 関東地方整備局で運用する「監理技術者育成交代モデル工事」など若手技術者の育成を目的とした取り組みや、建設キャリアアップシステム(CCUS)のモデル工事など直轄工事で推進する担い手確保の取り組みも課題を踏まえ見直しを図る。