大阪府/治山事業に「流域治水対策ダム」導入、24年度内に技術指針策定

2024年7月30日 行政・団体 [1面]

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 大阪府は山崩れの防止が主目的の治山事業で、洪水調節機能を付加した「流域治水対策ダム」を導入する新たな事業概念を打ち出した。山間部(集水域)で森林土壌の保持・形成を図る筋工や従来型の治山ダムを整備しつつ、下流側に治水機能を持つダムをセットで建設する全国初の試みという。2024年度に設計の技術指針策定と適地選定を行い、25年度着工を目指す。
 国が提唱する流域治水のあらゆる関係者が治水対策に取り組むという考え方にも合致し、他の自治体などへの展開も想定される。
 流域治水対策ダムは従来型の治山ダムの堤体に複数の水抜き管を設置し、ダム本体と副ダムの間に設ける堆水区域を使って下流側へのピーク流量を減らす手法をイメージする。
 今後、土砂流出防止と洪水調節を両立させる技術検討を行うとともに、地形や地質調査などを基に適地を絞り込み、ダム排水施設の形状や位置、設置数などを固める。技術指針が整い次第設計に着手する。
 治山事業の新たな概念は有識者らで構成する大阪府森林等環境整備事業評価審議会(会長・増田昇大阪府立大学名誉教授)で「先進的な事例として他の自治体への横展開も期待できる」などと高く評価。府環境農林水産部みどり推進室の早川昌宏参事は「地球温暖化に伴う気候変動に起因する豪雨や台風による洪水リスクが高まっている。治山事業の所管部署として森林区域でできることを考えた」と話す。
 まずは1カ所で整備し効果を検証しながら事業拡大を図っていく。