2024暑中号/地域の魅力創生、スタジアム・アリーナがまちづくりの起爆剤に

2024年7月31日 特集 [6面]

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 スタジアムやアリーナといった大型スポーツ施設の建設プロジェクトは、周辺のまちづくりを一体的に加速させる効果がある。プロスポーツの観戦客のニーズを取り込むホテルやショッピングセンターが集積するほか、鉄道などのインフラが整備される事例もある。今後のスタジアムを通じたまちづくりはどのように進んでいくのか--。政府の方策や民間事業者の開発動向を取材した。
 □にぎわい生む民間の集客力に期待□

 大型スポーツ施設の開発を周辺のまちづくりと連動して推し進める傾向は、2024年に開業する施設でも見られる。
 5月に開業した「ららアリーナ東京ベイ」(千葉県船橋市)が立地する南船橋エリアでは、アリーナの建設主である三井不動産が開発を加速している。23年11月に延べ1・1万平方メートル規模の商業施設「ららテラス東京ベイ」を開業。3月からは既存の「ららぽーと東京ベイ」の一部施設の建て替えに着手し、延べ約10・2万平方メートルから約11・8万平方メートルに増床する。イベントの誘致などに力を入れ、さらなるにぎわいを創出していく計画だ。
 ジャパネットホールディングス(HD)が、約900億円を投じて整備している「長崎スタジアムシティ」(長崎市)は10月に開業予定だ。スタジアムとアリーナに加え、ホテルやオフィス、商業施設など総延べ約19・4万平方メートルを一体的に開発。年間約850万人が利用する新たなまちをつくる。
 これら施設は大型スポーツ施設の建設主である民間事業者が、周辺を同時に開発していく計画となっている。一方、建設主が地方自治体で、民間が運営する「公設民営」のスポーツ施設にもまちづくりへの期待がかかる。
 ともに2月に開業した「金沢ゴーゴーカレースタジアム」(金沢市)、「エディオンピースウイング広島」(広島市中区)はいずれも市が所有し、管理運営を本拠地として使用するサッカーJリーグのチームが担う。民間の運営ノウハウを生かし集客力を高めることで、周辺の商業施設の集積につなげる効果が見込まれる。