復興庁/宇野善昌事務次官、第2期復興・創生期間以降の方向性定める

2024年8月6日 行政・団体 [1面]

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 7月5日付で就任した復興庁の宇野善昌事務次官は2日、日刊建設工業新聞社の取材に応じ=写真、東日本大震災の復興を巡る今後の取り組みなどを話した。2025年度までの「第2期復興・創生期間」の次の政策検討が動き出し、「方向性を定めるのが最大のミッション」と抱負を語る。同庁の統括官として被災地と向き合ってきた経験を生かし、復興の総仕上げに向かう組織のかじ取りを担う。
 被災地は地震や津波の被害に対するハード面の整備がおおむね完了しながらも、原子力災害の復旧・復興が依然続いている。帰還意向のある住民を帰す福島県内の特定帰還居住区域や、福島国際研究教育機構(F-REI)に関する対応などが進行していることで、「一歩ずつ前に進んでいる」と被災地の現状認識を示した。原子力災害の被災地を含む福島県内の復興は「まだまだこれから」と指摘し、帰還のための取り組みとともに、なりわいの再建に目配りすることの重要性を強調した。
 第2期復興・創生期間以降については、取り組みを総括するワーキンググループが課題の洗い出しに入っている。復旧・復興の中で整備されたインフラは多く、「全国と同じように維持管理が課題」とし、国土交通省が検討している地域のインフラを群と捉える対応や、民間ノウハウの活用などが必要との見方を示した。住民が移転した後の元の土地の活用をはじめ課題は多く、「職員に現場を見てもらう」ことをさらに求め、「『何とかしないと』という気持ちを大事にしたい」と語った。
 国内総生産(GDP)が震災前を上回ったり、人口が転入超過となったりする地域がある一方、被災者の心のケアと生活再建に加え、人口減少の影響を懸念する地域がある。対応の考え方として「整備されたインフラをどう生かし、地域の活性化を促すか」を挙げた。
 「(まちづくりの)コンパクト化だけが解ではない」とも指摘し、地域や現場のニーズを吸い上げる機能を強化し、被災地に寄り添う考え。復興特別会計と関係省庁の予算も念頭に「被災地の復興からのソフトランディング」の在り方を追求する方針だ。