国交省が25年度予算要求で方針/資材や労務費上昇、コストアップ分の反映焦点

2024年8月6日 行政・団体 [1面]

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 各省庁が8月末までに財務省に提出する2025年度予算概算要求で、国土交通省の基本方針案が明らかになった。公共事業予算は建設資材の価格高騰の影響などを考慮し、労務費も含めて適切な価格転嫁が進むよう促した上で必要な事業量を確保する方針だ。政府の概算要求基準では、賃金や調達価格の上昇を予算編成過程で適切に反映すると明記している。建設業界の賃上げや資材高騰による単価上昇分が、トータルの事業量として目に見える形で反映されるかどうかが焦点となる。
 基本方針案は先週開かれた自民、公明両党の国交部会で示された。24年度と同じく▽国民の安全・安心の確保▽持続的な経済成長の実現▽個性を生かした地域づくりと分散型国づくり-の三つを柱に据える。
 賃上げ促進などの重要政策に対応した「重要政策推進枠」を最大限活用。予算編成過程で計上額を決める「事項要求」に含める項目として▽「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の推進▽物価高騰対策▽北陸新幹線の敦賀~新大阪間の着工-の三つを具体的に挙げた。5か年加速化対策の後継となる実施中期計画の検討にも触れた。国土強靱化施策の実施状況の評価などを最大限加速する。
 政府の当初予算でここ数年の公共事業関係費は約6・1兆円の横ばいで推移し、同時期に顕在化した資材高騰による単価上昇分が目に見えて反映されているとは言い難い状況だ。公共工事設計労務単価や設計業務委託等技術者単価の上昇幅も近年著しい。実質的な事業量が目減りしてしまえば、産業全体での賃上げ機運の波及に水を差しかねない。こうした懸念を踏まえ23年度補正予算で5か年加速化対策の別枠として「国土強靱化緊急対応枠」(3000億円)を設けた前例があり、同じような予算編成上の工夫が求められる。
 基本方針案には公共事業の実施で改正建設業法など第3次担い手3法を踏まえた措置を講じることも盛り込んだ。
 施工時期の平準化や適正価格・工期での発注などを推進。新技術の導入やi-Construction2・0の推進、建設産業の処遇改善や働き方改革の推進にも取り組む。