新会長/日本建築士会連合会・古谷誠章氏、社会に応える建築士支える

2024年8月7日 人事・動静 [1面]

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 日本建築士会連合会(士会連合会)の会長就任に当たり、「社会に応える建築士・各都道府県建築士会を共に支える連合会を」をテーマに掲げた。大規模災害など広域的な対応が必要な場面が増えている。単位会とともにブロック単位での活動を積極的に支援して、社会貢献につなげる。情報発信にも力を入れ建築士の存在感を高め、加入促進につなげる。今後の変化を見据えた資格の在り方も探っていく。
 --就任の抱負を。
 「安心して暮らせる住環境にすることが建築士の責務だ。使命感を持つ会員が心置きなく活動できるよう支援したい。47の単位会と士会連合会の中間に七つのブロックがあり、災害などが起きた時には別のブロックが支援する相互関係にある。ブロック間の交流や支援を重層化していきたい。活発な活動には会の勢いが必要だ。一般の人に関心を持ってもらうよう努力したい。関心が集まれば、やりがいや加入の動機付けになる」
 「新しいテーマに取り組み、若い世代の参加意欲を増進したい。未知の領域や人材との交流の場づくりにも力を入れる。青年と女性の両委員会は、青年や女性だからこそ新しい課題を発見できる先駆性を持ち得る。全体に良い刺激を与えてくれると期待している」
 --建築士の役割とは。
 「設計の依頼に応えて幸せをサポートしている。加えて、災害などで失われた住まいやコミュニティーを直す町医者のような役割がある。東日本大震災での大きな気付きだ。人口減少やまちの衰退が各地で進行している。これらを立て直すことも大事だ」
 「まちを見て『こういう物があった方が良い』『これが足りない』と見抜き提案する力を持つ必要がある。場数や経験が物を言うが、1人の経験には限界がある。団体として共有しながら、地域に還元していくことが重要だ」
 --資格制度への認識は。
 「1級建築士はアーキテクトとエンジニアの両方を包含している。災害の多い日本にはなじみの良い資格だが、国際的にはアーキテクトとエンジニアの職能は別と見られている。倫理観やデザイン力を持つアーキテクトであることを国際的に説明する資格として、士会連合会の専攻建築士と、日本建築家協会(JIA)の登録建築家があるが、現状はどちらも低迷している状態にある」
 「国内需要を考えると、これから先は国際進出が求められるだろう。次世代も考えつつ資格を今後望まれる形に見直し、歩み寄ることが必要ではないだろうか。両制度は互いに認め合う関係を目指し始まった。JIAと良い形で共通認識を持つことが大事だ。性急に動くつもりはないが未来のために議論を始めたい」。
 (6月18日就任)
 (ふるや・のぶあき)1980年早稲田大学大学院博士前期課程修了。94年早大助教授、97年教授。94年に八木佐千子氏とナスカ設立。2017~19年日本建築学会会長。21年から東京建築士会会長。JIA正会員で、登録建築家を認定・登録する建築家認定評議会の議長も務める。趣味は演劇鑑賞やサッカー、スキー。東京都出身、69歳。