JR東日本ら/地下トンネルの吹き付け補修工法開発、工事費は2~3割削減

2024年8月7日 技術・商品 [4面]

文字サイズ

 JR東日本は6日、塩害を受ける地下トンネルの耐久性を高める新たな吹き付け補修工法を開発したと発表した。水分の浸透やひび割れを抑制する特殊な材料を混合した粉体と添加剤をノズルの先端で混合する手法を採用。従来よりも約3倍の量が吹き付けられ、工事費も2~3割削減できる。開発した工法は総武快速線(馬喰町~錦糸町駅間)間のトンネル壁に適用した。
 補修工法はJR東日本首都圏本部東京土木設備技術センターと材料メーカーのデンカ(東京都中央区、今井俊夫社長)が共同開発した。吹き付け材の主成分は水分の浸透を抑制する材料と補修材の硬化を促す材料、ひび割れを起こりにくくする短繊維の3種類を混ぜた粉体を使う。水と粉体でできたものをポンプで圧送し、最適に配合した添加剤を混合し吹き付ける。
 添加剤をノズル先端で配合する方式に見直したため、1時間当たり0・2~0・3立方メートルだった吹き付け量が0・7立方メートルへと増加。材料の硬化時間も従前の48分から22分に短縮できる。
 海岸に近いRC造のトンネルは、継ぎ目部分やひび割れ箇所から塩分を含んだ水が浸透すると腐食が起こりやすくなる。営業線内でのメンテナンス作業は90分程度と短い時間で済まさなければならず、施工の効率化が求められていた。