関東整備局荒川調節池工事/荒川第2調節池工事が最盛期、26年夏の暫定供用へ

2024年8月7日 工事・計画 [5面]

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 関東地方整備局荒川調節池工事事務所が進めている「荒川第二・第三調節池」の建設工事が最盛期を迎えている。囲繞堤(いぎょうてい)や排水門の形が次第に明らかになりつつあり、2026年度の暫定供用に向け、盛り土や構造物工事が急ピッチで進む。荒川第2調節池は積極的にインフラDXを導入し生産性を高めるモデル現場となっており、定点ドローンによる盛り土量の測定や遠隔の沈下量測定、ICT施工などに取り組んでいる。
 荒川第2調節池は、さいたま市桜区から西区にかけて荒川中流部左岸河川敷に建設される調節池。洪水調節容量は約3800万立方メートル。上流部に建設予定の第3調節池と合わせて約5100万立方メートルの洪水を一時貯留し、下流部の氾濫を防ぐ。18年に事業着手し、22年度に実際の工事が始まった。
 現在は第2調節池を中心に高さ約10メートルの囲繞堤と排水門などを築造している。囲繞堤は高いところで既に約8メートル以上に達しており、GNSS(全球測位衛星システム)を使った敷きならしと転圧管理で施工に当たる。今後、盛り土が進むにつれて沈下量が大きくなってくるが、GNSSセンサーを各所に設置し、自動計測することで業務を効率化している。
 最大の構造物となる排水門は高さ約60メートル。国内最大級のゲート扉は大きさが15メートル×23メートルになる。排水門本体の構築に必要な大量のコンクリート打設を管理するため、コンクリートプラントと現場を連動させ発注と現場打設量をリアルタイムで管理するシステムを導入した。その日の発注量や打設量、ミキサー車の状況などが一目で分かり、監督員への報告もリストを印刷するだけと現場管理業務を大幅に効率化している。
 排水門付近の現場には大型のサイネージを設置。見学者向けにCIMによる3Dモデルや工事概要、時間軸を加えた4Dモデルによる施工手順、空撮画像などを、その場で見られるようにしている。
 堤防の構築が進んだことから、羽根倉橋(さいたま市桜区)付近の横堤に設置している「DXルーム」を一時休止した。今後、横堤のかさ上げを実施する。展示品やパネルは、各施工者の現場事務所や荒川調節池工事事務所内などに移す予定だ。
 荒川第2調節池は最下流部の囲繞堤や排水門の築造を飛島建設、その上流2カ所の工区を戸田建設と西武建設が担当している。暫定供用までに下流部約3・6キロの堤防を完成させる予定だ。