国交省/JOINの経営改善策検討へ有識者会議が初会合、24年内に結果まとめ

2024年8月7日 行政・団体 [1面]

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 海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)が多額の累計損失を抱えている問題で、国土交通省は経営改善策などを議論する外部有識者会議を立ち上げ、6日に東京都内で初会合を開いた。第三者の専門的な視点から、リスクの取り方など抜本的な対策を議論し、年内にも検討結果をまとめる。検討を終えるまで新規支援の決定を見送る。
 会合の冒頭、国交省の田中由紀国際統括官はJOINの損失計上を「大変重く受け止めている」と述べた。2024年は「株式会社海外交通・都市開発事業支援機構法(JOIN法)」の施行状況を検討する年に当たることから「JOINの抜本的な見直しをする機会にしたい」と話した。
 委員長に就いた慶応大学経済学部の土居丈朗教授は「国民の大切な財産が失われる可能性がある由々しき事態だ。JOINの存在意義を含む幅広い点について議論していただきたい」とあいさつした=写真。事業を正確に検証するため、事務局にできるだけ情報を開示するよう求めた。
 会議は冒頭を除き非公開で実施した。学識経験者のほか、海外事業に知見を持つ商社や倉庫会社、監査法人などの幹部が委員を務め、JOINの役割や在り方、経営改善策などを専門的な視点から議論する。毎月1、2回の会合を開き、年内にも検討結果をまとめる。
 JOINは24年3月期の事業報告で約799億円の純損失を計上。累計損失は955億円に上った。ミャンマーのヤンゴンで進める3件の都市再開発事業がクーデターで中断し、約179億円の損失を計上した。米テキサス州の新幹線建設事業では、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で現地の事業主体が債務不履行状態に陥り、約417億円の損失がでた。