若築建設/岩手・岩泉町で海中造林の実証実験、藻場ブロックに低炭素コンクリ

2024年8月7日 技術・商品 [3面]

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 若築建設は、繁殖しすぎたウニの食害で磯焼け状態になっている岩手県岩泉町の海域で、海中造林の実証テストに入る。茂師漁港の3カ所にコンブ養殖の実験設備を複数設置し、どの方法が適しているかを検証。大型海藻が増やせる技術を確立して磯焼けの改善や水産業の成長に貢献する。月内に準備を終え9月から実海域で調査を開始。1年をかけてデータを集め藻場拡大の有効手法を把握する。=6面に関連記事
 同社は2022年度から2カ年をかけ、アルファ水工コンサルタンツ(札幌市西区、堀江岳人社長)と同町小本浜地区の海域で調査を実施した。結果を分析してウニの食害が磯焼けの原因と確認。町と小本浜漁業協同組合の協力を得て、実海域でマコンブの養殖試験を行うことにした。
 茂師漁港の港外側に1カ所、港奥側に2カ所のフィールドを確保した。海上に浮かべたブイからロープを垂らしアンカーで固定する垂下式とはえ縄式の二つで複数の方法を試験し、どれが有効なのかを調べる。宮城大学食産業学群・北辻政文教授の指導で開発した低炭素コンクリート製藻場ブロックも海底に投入。海中に染み出た鉄分や栄養塩が海藻の安定成長に与える効果も検証する。
 9月から実証テストを開始し、増えすぎたウニを除去しつつ今秋と来春・夏にコンブの成長データなどを取る。藻場ブロックの効果も把握。来春・夏にはウニの肥育試験も行い、岩泉町の海域に合った藻場再生、海中造林の手法を洗い出す計画だ。
 同地区の海域は増えすぎたウニが冬場にマコンブの新芽を食べ尽くすことで、海底が砂漠のような磯焼け状態になっている。餌の海藻が乏しいことでウニも肥育が不十分という悪循環に陥り、海の環境保全と漁業振興の両面で苦境に立たされている。