東京都/ホームドア整備加速へ、官民協議会立ち上げ準備

2024年8月7日 行政・団体 [4面]

文字サイズ

 東京都は鉄道駅でのホームドア整備を加速するため、官民連携の新たな協議会を立ち上げる準備を進めている。協議会にはJRや私鉄各社のほか、鉄道行政を所管する国土交通省にも参画してもらう予定。技術や財源の観点から設置促進策を話し合いながら、安全な鉄道利用を支え、安定的な運行を実現する上でも重要な役割を果たすホームドアの設置を促進していく。
 ホームドア設置は、都営地下鉄で2月に全駅設置が完了。以降、鉄道駅での転落事故は発生していない。東京メトロ各路線でも設置率は95%に達している。一方、JRや私鉄では約6割の駅が未設置。都では整備加速を「喫緊の課題」と位置付けている。
 7月25日には小池百合子知事が斉藤鉄夫国交相に対して「鉄道駅におけるホームドアの整備加速にかかる緊急要望」を実施。技術開発や基準改正などの支援、必要な財源の確保に加え、ホームドアが整備されるまでの間、IT・センシング技術などを生かした転落防止策を検討し、鉄道事業者の取り組みを促すよう求めた。
 新たな協議会は、3選を目指した知事選(7月7日投開票)で小池氏が掲げた公約の一つ。選挙戦を通じて、都民が日常的に利用する鉄道駅で線路への転落防止につなげたい考えを示した。
 国交省は2021年度にバリアフリー料金制度を創設。鉄道利用者から薄く広くホームドアなどの設置を負担してもらうため、現在、首都圏や関西圏などの鉄道事業者14社が初乗り運賃に10~20円を上乗せしている。東京都はホームドアを設置する事業者に対し、市区町村を通じて上限4000万円の補助を行っている。
 協議会では、ホームドア整備を加速するための財源確保策とともに、技術的な事項を含めた課題を官民が一緒になって検討していくことになりそうだ。