オリックス/中小建設業の事業承継支援、株式取得し後継者育成など

2024年8月8日 企業・経営 [3面]

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 オリックスが建設関連を含む中小企業の事業承継支援に注力している。親族に後継者がいる顧客には同社のコンサルティング機能を提供。後継者がいない顧客には同社への株主譲渡や同社と取引がある企業とのM&A(企業合併・買収)仲介などを提案する。建設関連では2019年以降に4社の株式を取得した後、同社から人材を派遣し役員などの立場でさまざまな助言を行っている。直近では6月に関西で基礎くい打ち工事を手掛けるサンシャ(神戸市西区、濱田聡一郎社長)の全株主を取得した。
 オリックスには約2400社から事業承継の相談が寄せられ、うち約2割を建設業が占める。同社は19年3月に地盤調査の東京ソイルリサーチ(東京都目黒区、辻本勝彦社長)と散水設備工事のトンプソントーワ(東京都千代田区、北野泰弘社長)、20年12月に計測システム開発など手掛ける計測ネットサービス(東京都北区、荻野裕昭社長)の株式を取得した。
 東京ソイルリサーチは事業機会の拡大を見越し、経営体制の強化とさらなる事業成長を推進。後継者が不在だったトンプソントーワは社内体制を強化し、21年10月にオリックスの取引先に株式が譲渡された。計測ネットサービスは次世代を担う経営者の育成や経営体制のさらなる強化に取り組んでいる。
 サンシャは後継者の育成やガバナンスを強化。オリックスグループの法人営業ネットワークや事業ノウハウを活用し、中長期的に安定した成長に貢献する。関西エリアで今後予定されるうめきた2期地区開発事業「グラングリーン大阪」や25年日本国際博覧会(大阪・関西万博)などに関連する大型プロジェクトの受注を目指す。
 東京商工リサーチによると、23年度に後継者不在に起因した企業倒産は過去最多の456件(前年度比10・6%増)。うち建設業は106件(6・1%増)に上る。オリックスは今後も後継者問題に悩む建設業などの中小企業に対し、さまざまなソリューションを提供して伴走型の支援に取り組んでいく。