新会長/全国測量設計業協会連合会・藤本祐二氏、新4Kで技術者確保へ

2024年8月8日 人事・動静 [1面]

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 会員第一の運営方針を掲げる。最優先課題は将来にわたる技術者確保。公共発注機関には中長期視点での事業量の安定確保とともに、測量士・測量士補の柔軟な資格制度見直しを訴える。業界の魅力向上に向け、デジタルを駆使するかっこいい測量設計業界への進化を目指す。
 --就任の抱負を。
 「業界を取り巻く環境は東京や大阪などの大都市圏と地方で全く違う。全国測量設計業協会連合会(全測連)には建設コンサルタンツ協会(建コン協)にも加盟している会員が多い。建コン協の活動が大手中心であるのに対し、全測連の活動には大部分を占める地方会員からの期待が大きいと感じる。各地区協議会や都道府県協会、会員各社からさまざまな意見や発注機関などに対する要望を丁寧にくみ上げ、会員のためになる活動に取り組む」
 --業務の市況は。
 「測量設計は公共事業が中心になる。引き続き国土強靱化対策を中心に堅調に推移するだろうが、将来が見通せる予算措置が必要だ。4年目を迎えている国の『防災・減災、国土強靱化5か年加速化対策』は補正予算で措置されている。公共事業用地の現状把握や事業の計画立案、用地取得などは単年度だけではなかなか終わらない。国が策定を目指している『国土強靱化実施中期計画』も含め当初予算で措置し、中長期視点で安定した事業量を確保できるように求めていく」
 --最優先課題は。
 「将来にわたる技術者の確保・定着と育成だ。今年の国会で成立した第3次担い手3法では建設業法などとともに測量法が改正され、中長期的な育成や確保に留意して測量士・測量士補の資格制度を見直すことが規定された。国の動向を注視し、必要に応じ全測連としても最適なスキームを議論し提案する」
 「例えば公共事業の業務は測量士補で十分に対応できる。測量士の合格率(24年13・0%)がとても低いことを考えると、測量士の業務を測量士補も行えるようにするなど、資格制度をより実態に即して柔軟に見直していくべきではないか。それと私見だが日本の出生率が極めて低い状況にあって、外国人材の拡大も不可欠だ」
 --目指すべき業界の将来像は。
 「国土交通省や日本建設業連合会などが推進している新4K(給与・休暇・希望・かっこいい)実現を目指す。若い人に測量設計の仕事に魅力を感じてもらうためにも、業界全体でもっとデジタルを駆使できるようにしていきたい。技術革新の進展によってデジタル化が加速する中、測量設計業務の基盤となる3Dデータの本格運用に対応した方策を検討する」。
 (6月25日就任)
 (ふじもと・ゆうじ)1983年熊本商科大学(現熊本学園大学)商学部商学科卒。90年有明測量開発社(現ARIAKE)入社。99年取締役、2001年社長。全測連では12年理事、16年副会長などを経て今年6月から現職。仕事でのモットーは「できることを一生懸命やる」。趣味はゴルフ。熊本県出身、64歳。