山梨県、大成建設ら/グリーン水素製造装置第1号実証開始、大成ユーレック川越工場で

2024年8月8日 技術・商品 [4面]

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 山梨県は大成建設などと協力し、再生可能エネルギー電力でつくるグリーン水素の製造装置「やまなしモデルP2G(パワー・ツー・ガス)システム」第1号の実証運転を6日に始めた。プレキャストコンクリート(PC)部材を製造する大成ユーレック川越工場(埼玉県川越市)に設置。大成建設の水素利活用システムと組み合わせて運転、実証する。PC部材の硬化促進養生に使う蒸気について、燃料を都市ガスから工場にある太陽光発電パネルの電力でつくったグリーン水素に一部置き換える。地産地消の再エネ普及モデルとして展開する。
 同日に現地で報道公開した。グリーン水素製造装置を既設工場に設置するのは国内で初めて。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受け、県企業局が東レや東京電力エナジーパートナーなどと共同開発した。
 固体高分子(PEM)型で使用電力500キロワットの小型容量。40フィートコンテナ(幅12・2メートル、奥行き2・5メートル、高さ2・9メートル)に水素製造装置や変電設備など格納した省スペース型になる。限られた工場敷地内で直接的な需要場所に設置しやすい優位性がある。
 大成ユーレック川越工場では、グリーン水素製造装置と大成建設の水素利活用システムと一体運用。同システムはグリーン水素からつくる蒸気の製造用ボイラーや水素貯蔵用のタンクなどで構成する。
 大成建設が開発した建物再生可能エネルギー利用を最適化・最大化するエネルギー需給一体型管理システム「T-Green BEMS RE Optimizer」も活用。同工場の建屋屋根にある太陽光発電パネル(出力1メガワット)の余剰電力を最適配分する。PC部材の製造に活用するほか、蓄電や大成建設横浜支店ビル(横浜市中区)への自己託送を実証する。実際の配分前日に電力需要量と再エネ発電量を前日に予測しておく。
 大成建設の小林信郷クリーンエネルギー・環境事業推進本部理事兼ZEB・スマートコミュニティ部長は「スペースさえ取っておけばすぐに稼働できる」と説明。工場での汎用(はんよう)性を訴える。
 山梨県などは2025年度までグリーン水素製造装置を実証。今回設置したような小型容量かつ省スペース型の設備を量産し、全国にある工場などへの普及を目指す。